中古レコード店店長の
経営ブログ

中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

店主の誤った「思い込み」が店をつぶす! 思い込みを排した、科学的経営のススメ。

更 新:2025-05-11
テーマ:中古レコード店の経営

新規店舗が、勉強不足、経験不足でスタートした場合、間違った思い込み、勘違いがもとで、経営を軌道に乗せることなく、撤退に追い込まれることがほとんどである。今回はラーメン店を例に挙げ、どんな誤った思い込みがあるかのか、具体的に説明していきたい。


<目次>
❶最初の誤った思い込みが、致命的な結果に!
❷お客が来ないラーメン屋の、典型的な勘違いとは。
❸ストーカーはどんな思い込みをしているのか。
❹店の個性を打ち出すときは、思い込みを排除して、客観的、科学的に考える!
❺経営をしっかり学ぶには。
___________


❶最初の誤った思いこみが、致命的な結果に!

人は、勘違い、思い違いをする生き物だ。よく言えば愛嬌があり人間的。しかし、経営ではそれが命取りになる。レコード屋でもラーメン屋でも、 経営不振の原因が、店主の誤った「思い込み」による、初歩的なミスだったりする。要するに勉強不足、経験不足ということだ。半分以上の店が3年以内に撤退してしまうのはそのためだ。

勉強不足の見切り発車の店は、たいていスタートでこけたまま、終わってしまう。途中で気づいて逆転できればいいが、普通はそうはならない。最後は「こんなはずじゃなかった」とか、「もっと○○だと思った」などと、嘆きながらの閉店だ。早ければ一年。何が何だかわからないまま、お金はあっというまに底をつく。ダメな店主の典型がこれである。

❷お客が来ないラーメン屋の、典型的な勘違いとは。

では、どんな勘違いでダメになるのか。ラーメン屋を例にあげて説明したい。

わたしの自宅近くに最近、 「生姜ラーメン」の店ができた。すべてのメニューに生姜が入っているが、お世辞にもうまいとは言えず、お客も入っていない。だしが薄くて雑味が多く、生姜だけがへんに強烈。生姜ラーメンといっても、ベースになるスープが不味いのだからどうしようもない。

店構えからしても、繁盛店を目指しているようには見えなかった。近所のお客さんが普通に来てくれればそれでいい、という考えだろう。店主はおそらくは60代で、年金もあるし、マイペースでやりたいということか。だが、店内を見ても、あまりにも勉強不足が目につく。こんなことでやっていけるほど現実は甘くはない。

ラーメン屋はB級グルメの花形だ。その分、飲食業界の中でも特に厳しく、勝ち組と負け組がはっきりしている。
格差が大きく、勝ち組は儲かるが少数しかいない。繁盛店を目指してベストを尽くしても、思ったようにお客さんは来てくれない。ましてや、最初からまあまあ普通でいい、なんて思っていたら、本当にお客さんが来ない店になってしまう。ここの店主はそういうことを知らないまま、始めてしまったようだ。

誤解している人も多いようだから、明確に言っておこう。
ラーメン屋の「普通」というのは、繁盛店を目指して必死に頑張ったにもかかわらず、競争に勝てずに「普通」という評価になっただけのこと。つまり、上を目指して努力したけど繁盛店になれなかった店が「普通のラーメン屋」の正体なのだ。最初から「普通」を目指していたわけではない。
(※ プロ野球の三冠王、落合博満は、全打席ホームランを狙い、その打ち損ねが普通のヒットだ、と言っているのに似ている)

もう一つの典型的な勘違いをご紹介しよう。
それは、「心を込めて一所懸命作ったラーメンだから、必ずお客さんもわかってくれるに違いない」という誤った考えだ。
冷静に考えれば、まったく何の根拠もない、とんでもなく勝手な思い込みなのだが、あまりにもよく言われるセリフなので誤解してしまう。テレビの三流ドラマの主人公がよくそういうことを言うが、現実はまったく違う。心を込めようが何だろうが、まずけりゃお客は来ない。洗脳されてはいけない。

先の生姜ラーメンのすぐ近くに、A店という評判の店がある。客観的に考えれば誰でもA店に軍配をあげるはずだが、 「自分がこんなに心をこめて頑張っているのだからあの店に負けるわけがない」と、もし本気で思っているとしたら、重症だ。こういう店主にはいくら周りが注意したところで聞く耳を持つことはないし、付ける薬もない。本人が気づくとすれば閉店後だから、後の祭り。

❸ストーカーは、どんな思い込みをしているのか。

「ストーカー」の思い込みについては、テレビでも取り上げられてよく知られている。
典型的なストーカーは、「自分はこんなに相手のことを思ってあげているのだから、話せばきっとわかってくれる」と、信じている。だから、自分がストーカーだとは思っていない。

こういう人は特別だと思うかもしれないが、そうではない。この世の中は、かなりの部分「思い込み」で成り立っている。
みんなが、政府やマスコミ、企業コマーシャルに思い込まされていることが「世の中の常識」となり、われわれはその了解の中で生きている。 チコちゃんじゃないが、ほとんどの人はボ~ッと生きているのである。

❹店の個性を打ち出すときは、思い込みを排除して、客観的、科学的に考える!

ところで、 店の個性をどう打ち出すか、というテーマがある。個性の出し方は難しい。中古レコード店に限らず、店主としては悩むところだ。ただ、個性を出す場合でも、思い込みを排し、客観的、科学的に考えてやらないと、おかしな店になってしまう。

よくある間違いは、「自分がこんなに好きなのだから、みんなもきっと好きに違いない」と、一方的に決めつけてしまうことだ。これは明らかに間違った思い込みだ。

自分が好きだからということと、お客が好きかどうかは別のことだ。自分の好きなものがお客に受け入れてもらえるのかどうなのか、そのための宣伝はどうあるべきかは、きちんと客観的に考えながらやっていくべきだろう。

何の計算もなく、ヘタに個性を強調してお客さんがいなくなったら元も子もない。それこそこんなはずではなかった、と愚痴ることになりかねない。

❺思い込みを排し、経営をしっかり学ぶには。

先の「生姜ラーメン」の話に戻る。なんで、周囲の人が最初にちゃんと教えてあげないのか、と思うかもしれない。少なくともこういう初歩的なミスはないだろうと。だが、ことはそう単純ではない。まず、周囲にわかっている人がいるわけじゃない。仮にいても、本人が人の言うことにしっかり耳を傾けて勉強しようという心構えがなくてはダメだ。

私自身は若いころ、 サラリーマン時代から自営業全般について幅広く勉強もしていたし、実際に自営をしている何人もの先輩方に根掘り葉掘り聞きまわっていた。
あまりにもしつこく聞いたり、議論を吹っ掛けたりしたこともあり、怒られたこともあるぐらいだ。他店で何軒かの修行をするなら別だが、独学でやるのならそうやって学ぶしかないだろう。

いい先生から教わってるから大丈夫だという人がいるかもしれない。 だが、ただハイハイ言うことを聞くだけではダメだ。こちらから突っ込んで質問したり、意見をぶつけたりしてこそ、本当の勉強になる。
たとえ、ケンカになったとしても、一生、自営業者として生きていこうと思うのなら、そこまで真剣にやるべきだ。

先生も一人じゃなく、何人かいた方がいい。人によっていろいろな意見があるからだ。 もし、10人の先生がいたら、10通りの教えがある。
最初はどれが正しいのかわからず、頭が混乱するだろう。なぜそうなのか。人に聞いたり、本を読んだり。でも、結局最後は自分の頭で考えなければいけない。そういう試行錯誤が最大の修行。自分の経営頭を強くする。

A先生とB先生の言うことが、どうして真逆なのか。あーでもない、こーでもないと、まるで禅問答だ。だが、やがて少しづつわかってくる。半分以上わかれば、とりあえず合格だ。経営を学ぶのは七転八倒。頭の中は格闘の連続だ。

今回は、初歩的な『思い込み』によるミスという、テーマで書いてきた。結論は、しっかり勉強すれば、初歩的な『思い込みの罠』にはまることは格段に少なくなる。(了)

※昨今の経営状況から、中古レコード店の新規開業はオススメしていませんが、自営業全般に関するものとして、お読みください。


次回以降の掲載予定!

■この商売で、本当に生活が成り立つのか? 私の市場調査、体験アレコレ。 ■人生は準備で決まる! 先手必勝の哲学講座! ■黙って閉店する身勝手な店主は,大カツだ! 店主の引き際の正しい心得とは何だ。

※以上、順不同。月1回の更新予定。

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