中古レコード店店長の
経営ブログ

中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

閉店するにもマナーがある!店主のt正しい引き際の心得とは。

更 新:2025-06-15
テーマ:中古レコード店の経営

<br />
<span class="color_black font_bold font_100">
■</span>
<br />
<span class="color_black font_bold font_150">
<目次>
<br />

❶閉店の仕方にも成功失敗がある
❷事業が衰退してきたら、取るべき手段は二つしかない。
❷貯金を作って閉店するのが理想のやめ方
❸中古レコード店の閉店はどうしたらよいか
❺まとめ
_________</span>
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_150">
❶閉店の仕方にも成功・失敗がある!</span>
<br /><br />

長年、営業していた店でもいつかは閉店することになる。
<br /><br />

理想は、貯金を残しての円満な閉店だろう。これが一番いいのだが、現実には多額の借金を抱えてしまう人もたくさんいる。長年うまくやってきた人でもそうである。なぜそうなるのか。それは経営不振になってから、最後の閉店に至るまでのやり方、経営の仕方に問題があるからだ。
<br /><br />

分かりやすく言うと、事業は最初の1~2年が大変で、まずこのハードルを乗り越えなければいけない。創業期を乗り越えれば業績もぐんぐん拡大。やがて、長期安定期が訪れる。ここまではいい。問題は最後の衰退期にある。例外はあるにせよ、ほとんどの事業は様々な理由で衰退していき、終焉を迎える運命にある。人の一生のようなものだ。
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_150">
❷事業が衰退してきたら、取るべき手段は二つしかない。攻めるか、守るか。</span>
<br /><br />

事業の衰退は、経営者の年齢的なものや家族の事情、社会の変化やライバル店がすぐ近くに出店したなどの経営環境の変化などが主な原因。いくら店主が頑張っても衰退するときは衰退する。
<br /><br />

問題は衰退期での経営の在り方だ。業務改革でテコ入れするのか、諦めて円満な閉業を狙うのか。いずれにせよ、店主の腕の見せ所。まさに真価が問われるところだ。テコ入れは復活を狙う「攻めの経営」。これがうまくいくなら一番いいが、年齢的な理由などでお金も手間暇もかけられないというのなら、次善の策として、円満な形での閉店を狙う。こちらが今回のテーマでもある「守りの経営」、つまり、閉店モードの経営だ。
<br /><br />

ただし、「守り」=現状維持ではないから、誤解しないでもらいたい。ここで言う「守り」というのは、オオナタを振るうようなコストカットなど、大胆に経費や時間を節約し、無駄な業務を全面的に見直すこと。経営上の守りというのは、多くの日本人が考えるような、何もしないことではない。攻めと同じく改革的なことだ。チコちゃんじゃないが、ボ~としているのが一番ダメ。
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_150">
❸最初に閉店の時期を決めなければ始まらない!</span>
<br /><br />

では、閉店を視野に入れた経営を、どう進めたらよいかを考えていきたい。
<br /><br />

まず、閉店の時期をだいたい決める。来年の春とか、もっとピンポイントで何月、としても良い。これが決まらなければ話にならない。閉店が着地点、ゴールであり、それに向けて頑張ればよい。
<br /><br />

そしてもう一つは、頭も心も「閉店モード」に切り替えるということだ。今までと違うやり方、考え方に切り替える。このことを強く意識してほしい。上手く経営をやり繰りする。目標は業務全体のコストカットだ。時間もコストだから、無駄な作業をカット。複雑な作業をもっと簡素化できないかを考える。改革的な合理化でお金と時間を浮かせること。「閉店の勝者」になるには、それらを徹底してやることにつきる。
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_100">
❹貯金を残して閉業することに成功した私の実例。</span>
<br /><br />

長年、頑張ってきた店や会社も、いつかはやめるときが来る。そのさい、いかにいいかたちで辞めることができるか。これは地味ながら大きなテーマだと思う。開業するときは誰でも成功を願い、努力をする。しかしながら、閉店するときはどうだろうか。中古店のほとんどは、閉店セールをやればいいだろうぐらいの頭しかなく、工夫のかけらも見られない。これではニワトリと同じである。
<br /><br />

閉店にも閉店の仕方がある。広げた羽を少しずつ、段階的に折りたたみながら、いかに利益の損失を最小限にとどめることができるか。うまくソフトランディングできるか。実は、うまくやれば借金じゃなく、かなりな貯金を残すことすら可能なのだ。
<br /><br />
 
わたしは前職の学習塾経営をわずか5年半で閉業した経験がある。ただ、最後に450万円という、当時のわたしにしてはかなりのお金を残した。一人経営の小さな学習塾で、辞める決意したのは閉業のちょうど1年前。経営が低迷してこととストレスが原因だった。そのときの貯金は200万程度。それが、閉業時に450万円残った。200万がみるみる増えて450万になったのは自分でも驚いた。学習塾は中古店の閉店セールなどの収入手段はない。にもかかわらず、いいかたちで辞められたのは、次のことを実践したからだ。
<br /><br />

① まず、移転して大幅に家賃コストを削減。月10万円の物件から、近所の5万円の物件に引っ越したのだ。そして途中からさらに値引き交渉し、月2万円まで下げてもらった。このことが大きかった。今ならほとんどの物件は管理会社が入っているが、この物件は人の紹介で借りた一軒家の2階の間借り物件だった。必死に探せばこういう格安物件に当たるということか。
<br /><br />

② 宣伝チラシをやめた。閉業するのだからこれは当然。
<br /><br />

➂ 仕事を圧縮し、時間のあいた曜日に印刷業のサイドビジネスをやり、収入減を補った。当時、学習塾はプリントなどを印刷する輪転機を持っているところが多く、わたしも人から安くもらい受けた機械を持っていた。わたしは電話帳に月2万円の簡単な広告を出し、注文を受けたら格安で印刷を請け負った。片手間ながら、月々10万近くの売り上げにはなって、大いに助かった。(※さらに、古本屋の開店後も引き続き1年間ぐらい注文が続いた。古本屋の1年目という、苦しい状況の中では少ないながらも売り上げの足しにはなった)
<br /><br />

450万まで増やした金がちょうど今の店をやるための元手になった。ちなみに私の塾仲間で、辞めるときに数百万の借金を作ってしまった人が二人いる。長年、私以上にうまくやってきたにもかかわらず、衰退してから閉店までの間にグズグズしていたことが失敗の素。最後になって、大きな貯金を残すか借金が残るかは大違い。天国と地獄。いつも言うように、自営業者はすべてのことに自己責任を負うべきだ。弁解はできない。
<br /><br />

以上、わたしの学習塾時代の閉業経験だ。ただ、学習塾と中古レコード店とはずいぶん違う。では中古レコード店ではどうしたらいいのだろうか。
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_100">
■中古レコード店での閉店はどうすべきかー①閉店セールは段階的に。</span>
<br /><br />

中古店の閉店といえば、何といっても閉店セールだ。塾学習塾、飲食店と大きく違うのは、閉店セールで大きな売り上げが収入が入るということ。普段どんなに売れない店でも閉店セールで一息つける。ただ、閉店セールは、ただやればいいというものでもない。どうせやるなら賢いやり方でやっていきたい。
<br /><br />

(※在庫の一部を残して、店を引き払った後、自宅でネット販売を継続するなら話は別だが、ここでは商売を完全に終了させるものとして話を進める)
<br /><br />

閉店セール中は普段どんなに暇な店主も目が回るぐらいに忙しくなる。始まったら最後、連日大盛況、売りつくしての閉店となる。私の知る店主たちはみな、閉店セールに押し寄せるお客に圧倒され、これなら普段からもっと安くしておけばよかったと一様に感想を述べるが、これは後の祭り。皮肉なことだが、閉店セールで初めて経営のコツの一端を知るようだ。
<br /><br />

ここで、最初から半額セールなんかにしてしまうのはもったいない。やはり2割~3割引きから入るのが筋だ。それで残ったものを次は5割引きにすればいい。本来、2割引きで十分売れるものを、最初から5割も引いて必要以上に安く売るのは損である。経営者として得られる利益は失ってはいけない。
<br /><br />

したがって、セールは必然的に段階的に下げていくことになる。そうやって利益をできるだけ失わないようにする。つまり、利益をどう最大化するかである。各段階は、一例として、最初は2~3割引、次に5割引きと進み、さらに7割引き、最後は100円均一とすると、ほぼ在庫が一掃できる。全部で4段階。倉庫在庫が店頭在庫以上にあるような場合は、もっと時間がかかる。もし、3か月以上やるのなら5段階でもいいかもしれない。逆に、店頭在庫だけなら、1か月半ぐらいで終了できる。閉店セールは短すぎても、お客さんが一気に店に押し寄せたりで大変だし、かといって必要以上に長引かせては、固定経費が負担になる。また、閉店セールが終了しても、店の跡片付けなどにどんなに早くとも1週間以上かかる。普通は2週間ぐらいだろうか。こういうこともあらかじめ、すべて計算に入れてやらなければいけないだろう。あまりにも短いと在庫をさばききれないし、かといって無駄に長引かせてもいけない。在庫量その他の事情にもよるが、よくよく考えて計画を立ててから実行してほしい。
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_100">
■中古レコード店の閉店はどうすべきか②ー閉店セールは何月にやったらいいか。</span>
<br /><br />

閉店セールをいつやるかだが、もちろん店主個人の都合もいろいろあるとは思う。しかし、ここでは、税金その他の対策についても考えていきたいと思う。閉店セールの売り上げは大きい。店の規模によるが、300万~1000万ぐらいになるかもしれない。たとえば、1万点の在庫があるとして、価格が平均1000円だったとする。これを平均500円で全部さばけたとすると、500円x10000点で、セールの売り上げは500万円。付いている価格の割に質が悪くて、平均300円しかなくても、総売り上げは300万になる。もし、在庫2万点なら、総売り上げがそれぞれ2倍になるから、1000万とか600万ということになる。こういう簡単な計算で閉店セールのおおよその総売り上げが分かるから、あらかじめ計算しておくといいと思う。
<br /><br />


なぜ、こういう概算見積もりが必要かというと、税金の申告をしなくてはいけないからだ。あまりにも売り上げが大きいと、今まで払ったこともないような多額の税金(そして医療保険や住民税も)をおさめなくてはいけない羽目になるかもしれないから要注意だ。
<br /><br />

例えば10月から12月にかけて閉店セールをやったとしよう。これはよくない。
その年の売り上げは、通常の売り上げに加え、閉店セール分が上乗せされて、かなりの数字になるだろう。特に1000万以上の売り上げに対しては10%の消費税の支払い義務があるからそれだけで大変になる。それまで1000万未満の売り上げで、消費税の支払いがなかった小店舗の店主も、かなりの税金の支払いを覚悟しなくてはいけなくなる。できれば秋の閉店セールは避けた方がいい。
<br /><br />

そこで、閉店セールを1月から2か月かけて行うことにする。年をまたげば、1000万以下におさめることも十分、可能である。くれぐれも注意したい。
<br />
(※仮に年間売り上げが年末の段階でぎりぎり1000万に近づいた場合は、その時点で店を休業にするとか、商品は無料にするとかの裏技もある)





















わたしは、華々しく活躍するだけが経営者ではないと思っている。大車輪で活躍できる時期はむしろ短いし、派手な活躍もあくまで経営者の一側面にすぎない。閉店モードでの経営なんて、あまりにも地味すぎて話題になることはまずないだろう。しかし、閉業という経営人生の大きな節目・終焉をどう取り組んでいくかということも、実はそうとう大きな仕事であり、この経験は自分の中の大きな財産になりうるものだ。わたしも前職の学習塾の閉業への取り組みの経験からつくづくそう感じた。
<br /><br />






わたしがここで言いたいのは、<span class="color_black font_bold font_100">
それぞれの時期にそれぞれの過ごし方、やり方があるということだ。</span>
それをまっとうできる人がいい経営者だということになろう。<br />
たとえば、衰退期だからといいかげんにやってはいけない。この時期は、新たな投資は控えながらも今まで築いた知名度や商品在庫を有効に使い、無駄を省いた安定経営を心掛けるべきだ。人間も老年期の過ごし方が壽命に直結するということと同じことだ。
<br />
<span class="color_black font_bold font_100">大きく言えば、登るときに登り方があるように、降りるときにも降り方があるのだ。</span>
<br /><br />

山を登るときはみんな一生懸命。だが、注意したいのはむしろ下りだ。けがや遭難事故は、下りの方に多かったりする。衰退期の過ごし方、そして事業の幕引きは非常に重要で、真剣に考えるべきことだ。
<br /><br />


















<span class="color_black font_bold font_150">
■正しい閉店までの道筋とは。</span>
<br /><br />

では、合理的にしっかり考えたら本当にその「潮時」が分かるのだろうか。

<br /><br />
それを一言で説明することは難しい。わかる人にはわかる、としか言えない。では、わかる人は何故わかるのか。
<br /><br />

そういう人は、日頃から世の中の流れ、自店や業界全体の状況を常に見て考えている。現状だけではない。1年後、3年後、5年後、世の中や業界、自店がどうなっていくのか、だいたいの見通しを持っている。そのなかで閉店の時期、閉店の有りようといったものは自ずと決まっていくのである。正しい理想的な閉店というものは、店舗の終わり方を日頃から模索を続ける中で、徐々にかたちをとって見え始め、ふとした感じで決まっていく。自分の中で、閉店することが何となく腑に落ちる感覚、納得できるような感覚がでてくるなかで、自ずと決まっていくものなのである。これが理想的な閉店の仕方、あり方だと思う。その時になって急にバタバタと決まるものではない。
<br /><br />

だから、正しい経営をやっている人には、当然ながら潮時はあらかじめ見えている。世の中の動き、自分の経営の可能性とその限界がわかっていれば、辞めるタイミングが1年先がいいのか、3年先なのか、最もふさわしいと思われる着地点は、必然的に見えてくるはずだ。
<br /><br />

着地点とは言葉を変えれば「ゴール」ということだ。マラソンで例えると、ゴールが近づくと、ラストスパートをかけるべきか、そのままで何とか走り切るか、決めなければいけない。店主も、閉店が近づくにつれ、いろいろやるべきことも見えてくる。
<br /><br />

いつがそのゴールなのか、店主は自店や業界全体を常にチェックしながら、広く考えている必要がある。そして、自分の理想のゴールは何なのか。自分がどんなかたちで、経営人生を終えたいのか。そういうことを日頃からきちんと考えている人が本当の経営者なのではないだろうか。
<br /><br />

<span class="color_black font_bold font_150">
■閉店の時期が決まったら、具体的に何をどうするか。</span>

では、閉店という方針が固まったら、どうするか。具体的に考えてみよう。
<br /><br />

たとえば、1年後に閉店と決めたとする。

<span class="color_black font_bold font_150">
■まとめ</span>
<br /><br />
今回は、借金を抱えての閉店にならない方法について考えてきた。
<br /><br />

実はこうした事態は簡単に避けられるのである。基本的なことさえ押さえておけばいいだけだ。ただ実際には、個人事業主は経営の基本を知らない人が多い。仮免経営者が、狭い道路で時速100キロ以上を平気で出す。逆走してても気が付かない。当然ながら事故を起こすが、なぜ事故になったのかよくわかってない。また、指摘してくれる人もいない。最後は世の中のせいにしてお茶を濁す。自分に非があるとは思いもしない。これが普通の個人事業主の実態である。経営の場では、あらゆることが自己責任の世界だ。たとえ小さくとも、商売をやるからには基本ぐらいは勉強してほしい。せめて、信号機の赤、青、黄、の意味ぐらいは覚えてくれないと話にならないではないか。
<br /><br />

過去の関連記事

営業時間

中古レコード・CD・DVD

音楽創庫タナカ

札幌市中央区南22条西9丁目1-38

買取番号 011-552-0090
営業時間 『お知らせ』欄をご確認ください。

市電『東屯田通』下車すぐ