中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。
成功する閉店セールはこうせよ! 正しい引き際の心得とは?
更 新:2025-08-17
テーマ:中古レコード店の経営
<目次>
❶閉店に潜む成功と失敗!
❷商売がダメになってきたら、取るべき手段は二つしかない。攻めか守りか。
❸まず最初に、閉店の時期を決めるところからスタートせよ!
❹わたしの学習塾時代の閉業の成功体験アレコレ。
❺閉店セールは段階的に!
❻消費税には気をつけろ!
❼閉店セールまでに何をやっておくべきか。
❽まとめ。山の正しい下り方。
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❶閉店に潜む成功と失敗!
人間に寿命があるように、店にも寿命がある。どんな店も最後は衰退し、終焉を迎える。
外からはわかりにくいが、閉店のさいの状況は様々だ。大金を残してのハッピーな閉店という人もいれば、家賃の滞納や借入金の返済などであまり手元にお金が残らないか、下手をすると借金を残したまま閉店、というという人もいる。ハッピーで終わるか、借金が残るのか。その後の店主の人生は、それによって大きく左右されるのだ。
よくあるのは、貯金が底をつき、家賃が払えないため、あわてて半額セールをやってそのまま閉店というもの。ダメな店ほど唐突であわただしくなりがちだ。
一方で、普段からしっかり考えている店主は、最後に閉店セールでガッチリ貯金を残して悠々自適だ。両者はまさに雲泥の差。一方は天国、他方は地獄。
では、ダメな店はなぜこうもダメなのか。
一番多いのは、経営不振にもかかわらず、何の策も立てずにズルズルやって、ますますダメになっていくパターン。
ピンチなのに何もしない。これは日本人に多い傾向で、これを読んでるあなたにも心当たりがあるかもしれない。実際、わたしの周囲ではこういう人が圧倒的に多い。
この手のズルズル店主は、家賃を滞納している人が結構いるから、注意したい。
もう一つのダメな典型は、
積極的に動いて、テコ入れをやるも失敗し、返って死期を早めてしまうパターン。つまり金をかけて改革断行したのが全部裏目。結果的に玉砕して沈没というケースも少数ながらあるのだ。実は、一見、ヤリ手に見える経営者に、この玉砕型が多い。一般人にはわかりにくいが、一見して、ヤリ手に見える人が、いい経営者とは限らない。
いい経営者は、必ず思慮深い面を持っているものだ。外見だけで判断すると間違ってしまう。
いずれにしてもしっかり事前に準備をしていれば、ひどいことになることはない。幸い、
中古店には「閉店セール」という切り札がある。リスクはゼロではないが、他の商売に比べれば、格段に低い。中古店は、普段は低収入でも最後には救われる、実におめでたい商売だ。
❷商売がダメになってきたら、取るべき手段は二つしかない。攻めか守りか!
業績の衰退、悪化には様々な理由がある。そして、いくら頑張っても悪化するときはどんどん悪化する。
わたしの経験では、一旦、衰退期に入り悪化しだすと、余程のことがない限り、悪化傾向はそのまま続く。これは経営における
慣性の法則だ。
もし、この何年かの業績が明らかに悪化していたら、どうするかを真剣に考えるべきだ。選択肢は2つある。
一つは、V字回復を狙うため「攻めの経営」を積極的に展開する。業績悪化の原因を突き止め、経営のテコ入れを図る。やり方さえ間違えなければ、回復の望みはあるだろう。
二つ目の戦略は、回復は諦め、円満な閉店に向けて舵を切る「守りの経営」だ。ゆるやかな延命処置をしつつも、最終的に大きな利益を残して、有終の美を飾る。
まあ、いずれを選ぶにしても、ここは経営者としての最大の腕の見せ所。その真価が大いに問われる試練の場だ。
もう少し詳しく述べる。
「攻めの経営」でV字回復に成功すれば、確かに理想ではある。だが、実際には
手間もお金もかかるうえ、失敗のリスクもある。攻めの経営は難しく、力量が問われる。自信がないのならやらないほうがいい。攻めの経営は普段の守りがしっかりできていないと成功しない。また、攻めは本来ゆとりがあるときにやるべきで、本当に追い込まれてからでは遅い。(※一番ダメなのは店舗展開。店舗を増やして大損する店は多い)
そこで、閉店するまでの1~2年間、しっかりと利益を残す「守りの経営」の道を探ることになる。今回のテーマは、それをうまくやるにはどうすればいいかだ。
簡単に言うと、守りの経営とは、無駄な作業を合理化し、できるだけ出費を抑えて経営のスリム化を図り、うまくやり繰りしながら利益を残すということだ。派手さはないがリスクもなく、成功すれば満足度は非常に大きい。
ただし、ハッキリ言っておくが、「守り」=現状維持ではないから、誤解しないでもらいたい。わたしの周囲でも、守りと言うと、現状維持で何もしないことだと勘違いしている人がほとんどで、唖然としてしまう。実際、守りほど大変で忙しいものはないにもかかわらずだ。
通常、中古店経営における平時の守りと言えば、商品の品質を常に保ちつつ、売れるプライスを付け、その整備を怠らないことだ。実際、これがどこまできちんとできるかで業績に大きな差がついてしまう。
さらに、閉店に向けてスリム化をはかるとなると、無駄な業務の全面的な見直しによるコストカットも必要だ。これらを従来の守りとうまく組み合わせる必要がある。
技術と勇気も必要だが、ちょっと経営に鼻が効く人ならそれほど難しいとは思わないだろう。
余談だが、わたしは30年近くこの仕事をやっているが、「守りの大切さ」を理解している人は本当に少ない。同業者と話をしても、「何、ソレ?」っていう反応しかない。しかし私に言わせると
守りがダメならすべてダメだ。いい店は例外なく守りがいいものだ。
そういうしっかりした店は少数派だ。事実、わたしが知り合った店のほとんどが早期に撤退。しかも、初歩的なミスで撤退している。われわれ中古業界の意識レベルはかなり低いと言わざるを得ない。
(※その点、
飲食店の経営レヴェルははるかに高い。この業界では、経営の勉強は当たり前。ほとんどの店主は、開業前に、他店で修行の経験を積むだけじゃなく、本を読んでの勉強もしっかりとやるのが常識なのだ)
❸まず最初に、閉店の時期を決めるところからスタートせよ!
話を戻し、閉店に向けての経営をどう進めるかについて話を進めたい。
まず、最初にやるべきことは何なのか。それは、閉店の時期を決めることだ。
これを決めなければ、物事は一歩も進まない、と思っていただきたい。
時期を最初に決める効果は抜群だ。カンのいい人なら、決めたとたんにやるべきことが次々と頭に浮んでくる。人は期限を区切ることで脳のスイッチが入るのだ。
時期を決めることで、目標地点、着地点が明確になる。着地点とはすなわちゴール。
ゴールが決まらないうちは、何をどうすべきか、見えるくるはずがない。だから最初に目標、ゴールを決める。まあ、具体的な日付じゃなくても、例えば、再来年の何月ごろ、という感じでいい。
ところで、ここで閉店に向けての経営を
「閉店モードの経営」と名付けたい。閉店の時期が決まれば、おのずと頭も心も閉店モードに切り替わるはずだ。
では、閉店時期をいつにしたらいいか。これは、結構悩むかもしれない。
あまりにも閉店日が近くては、準備が十分にできなくなる。できれば2年ぐらい前からやり方を徐々に切り替え、1年前からは全面的に切り替えることが望ましい。
閉店モード経営としては、できるだけ業務のスリム化を図りたい。簡素化できるものは簡素化し、廃止できるものは廃止する。時間もコストと考えること。出費を抑えるだけじゃなく、無駄な作業、無駄な時間が何なのかをしっかり考えメスを入れる。これをやりぬくことで「閉店の勝ち組」になれる。
❹わたしの学習塾時代の閉業の成功体験アレコレ。
閉店するにも賢いやり方がある。うまくやればかなりな貯金を残すこともできる。
わたしには、前職の学習塾経営をわずか5年半で閉業した経験がある。ここでは、それについて話していこう。学習塾は、私が初めて取り組んだ事業だったが、悪戦苦闘した割にはパッとせず、早期に閉鎖を決めた。やろうと思えばまだまだできたとは思うが、
早めに決断したのは正解だった。わたしは決断の後、さまざまな工夫をし、
最終的には450万円という、当時としては驚くほどの大金を残すことができた。
貯蓄額についてもう少し説明を加えると、最初の開業した時点で、銀行の貯金残高は50万円ほど。閉鎖する1年前の時点では250万円だった。その最後の1年間は、生徒数が大きく減っていたにもかかわらず、お金の方は逆に増えてきて、最終的に残ったお金が450万円。そして、それがそのまま現在の店の開業資金になった。これをまだまだシロウトの新米経営者が達成したのだから、われながら上出来だったと今でも思う。では、その具体的な実践の中身についてご紹介したい。
1、まず、辞める1年半前に格安物件に移転して、大幅な家賃コストの大幅削減に成功した。
月10万円の物件から5万円の物件に移転したのだが、交渉の末、途中からさらに月2万円に下げてもらった。この家賃カットはかなり大きかった。
管理会社が入っている物件だと交渉は大変だが、引っ越したこの物件は一軒家の2階の間借り物件。大家さんとも直接交渉ができた。犬も歩けば棒に当たる。人づての紹介の物件だったが、人間、必死になれば運も味方する。
ところで、家賃の値下げ交渉を1度もしたことがないという店主が多いようだが、経営が苦しいのに交渉をまったくしないというのはダメだと思う。値下げ交渉は、やっていけないものではない。必要なら遠慮なくやるべきだ。
2、宣伝チラシをやめて、20万近くのお金を浮かせた。閉鎖するのだから、これは当然。
3、仕事を整理圧縮し、時間のあいた曜日に印刷業のサイドビジネスを始めた。
生徒数は大きく減っていたので、(中3だけ残してあとは解散したため)サイドビジネスで収入減を補った。当時、学習塾はプリントなどを印刷する輪転機を持っているところも多く、わたしも人から安くもらい受けた機械を持っていた。そこで、電話帳に簡単な広告を掲載し、格安で印刷を請け負った。
結果、片手間ながら月々10万近くの売り上げになり大いに助かった。持っている資産は最大限に活用する。
印刷業の副業はわれながらいいアイディアだった。
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さて、以上の3点が私が閉鎖するにあたり、実践したことだ。
ところで、わたしには知り合いの塾の先生が二人いたが、その二人とも、辞めるときは
数百万円の借金をつくってしまった。私よりもキャリアも長く、優秀な人達だったが、最後の決断がなかなかできず、グズグズいていたため、傷口を大きくしてしまった。辞めるタイミングを見誤るととんでもないことになってしまう。
(※実際には、いくつもの大失敗を私はやらかしている。しかし、終わりよければすべて良し。最後が良ければ、次のスタートがはるかに楽なのは確かだ)
ところで、学習塾と中古レコード店とでは、ずいぶん違うのでは?と思った人もいるかもしれない。また、わたしが、ずいぶんいろいろなことをやっていて、驚かれた人もいるだろう。
わたしがここで示したかったことは、
いざとなれば最大限に知恵を絞り、ありとあらゆる手段を尽くして、乗り切っていくことが大切であり、それこそが自営業者の自営業者たるゆえんであろう。目的のためには手段を選ぶな、とまでは言わない。しかし、経営に絶対的なマニュアルがあるわけではない。現場ではケースバイケースの対応を強いられるのは当然のことだ。
方法は一つだけではない。直観的に自分でいいと思ったことは、どんどん実行してもらいたい。ボクシングでいえば、打たれてガードを固めたかと思えば、トリッキーな動きで相手をかわし、すきを見ては多彩なパンチを畳みかける。ストレートもあれば、ボディブローもある。どんな時も変幻自在。必ずしも教科書通りというわけではない。
経営についてもまったく同じ。あの手だけじゃない。アノ手コノ手だ。1つだけじゃない.三つも四つもだ。私も長年、あの手この手でやってきた。そうでなければ、とてもここまでやってこれなかった。
❺閉店セールは段階的に!
いよいよ、閉店セールの話題に移る。
中古店のいいところは、最後の閉店セールで稼ぐことができることだ。そこが学習塾や飲食店と違うところ。普通にやれば、借金が残るとは考えにくい。それでも、
閉店セールのやり方しだいで売り上げは大きく違ってくる。
たとえば、セールの売り上げが普通なら500万のところ、やり方によっては600万。もしかしたら700万もありうるのだ。閉店セールは賢くやってほしい。
閉店セール中は、いつもは暇な店主でも目が回るほど忙しくなる。
始まったら最後、連日の大盛況。最後は、ほぼ売りつくして閉店を迎える。ここまでは一直線。売れ残りはごくわずかだ。
余談だが、私の知る店主たちはみな、セールに押し寄せるお客に圧倒され、こんなんだったら、
もっと普段から安くしておけばよかった、と一様に驚きと反省の感想を述べるも、あとの祭り。うれしいような、悲しいような。多くの店主は閉店セールを経験して初めて、経営のコツの一端を知ることになる。最後の最後に目からウロコ。何という皮肉だろう。
ここで留意したいのは、
最初からいきなり半額セールというのは、もったいないということだ。
やはり2割~3割引きから順番に入るのが本筋で、それで売れ残ったら5割引きにすればいい。急いで安売りするのは損でしかない。本来得られるはずの利益は失うべきではない。
閉店セールにおける最大のテーマは
利益をどう最大化するかである。最初は2~3割引、次に5割引きと、さらに7割引き、最後は100円均一にすると、在庫が無駄なくほぼ一掃でき、なおかつ、利益もそんなに失わずに済む。このようにして、
閉店セールのプライスは、4~5段階を経て、少しずつ下げていくのが原則だ。
ただし、
倉庫在庫が大量にある場合ではセールのやり方も少し違う。また、在庫が大量であれば捌くのに時間もかかる。もしかしたら3か月、またはそれ以上の長丁場になるかもしれないから、しっかり計算しておく必要がある。
ところで、倉庫の在庫品の場合、プライスを1枚1枚つける時間はない。
そこで、売り方に工夫が必要になる。
こういう場合は、店主がざっと見て、このダンボール箱のレコードは2000円均一とか、こっちの箱は1000円均一とかに分けておく。検盤はお客にセルフでやってもらえばいい。売れた残たら、段階的に値段を下げていけばいい。時は金なり。こういうスピード作業の工夫も検討すべきだ。
セールは短すぎず長すぎず、スムーズに合理的に行うことで、利益が最大化できる。セールが始まってすぐにお客がどんどん来てくれればいいが、下手をすると、お客に十分知れ渡っておらず、最初は思ったほどさばけないということがおこる可能性もある。
これを防ぐポイントは、セール期間の周知を、早めにやっておくことだ。いきなり、今月の何日からセールだと言っても、お客はすぐには来てくれない。
HPやSNS,店頭の張り紙などで、最低でも1か月から1か月半。しっかりと、大々的に宣伝すべき。セールを本当の成功に導くには常連客だけでは不十分で、今まで来たことのないお客までたくさん来てもらって初めて成功したと言える。
もっとも、あまり大きな声で言いたがらない店主もいるが、閉店は決して恥ずかしいことではない。自分の事業の集大成としてフィナーレを飾ろうということだ。大々的にやったらいい。恥ずかしいと思うのは、何らかのやましさ、あるいは心の貧しさの表れだ。
❻消費税には気を付けろ!
ところで、閉店セールは何月にやるべきか。これは意外な重要事項で、税金対策に関係する。もちろん、所得税もあるがここでは消費税に絞って考えていきたい。
なぜ消費税かと言うと、ご存知のとおり、年間売り上げが1000万を1円でも超えてしまうと、10%の消費税を国に納めなくてはいけなくなるからだ。(※実際には仕入れで支払う消費税を差し引くから、まるまる10%ということではないが)
閉店セールの売り上げは大きい。数字がいくらになるかちょっと読めないところがある。一人経営の店で、たぶん200万から800万ぐらいかなと思うが、実際にやってみなければなんとも言えない。
そこでまず、閉店セールの売り上げを事前に予測しておく必要がある。たとえば、全部で2万点の在庫があるとして、付いているプライスが平均1000円だったとする。これをセールで平均400円で全部さばいたとすると、
平均400円x2万点で、セールの総売り上げは800万円。
もし、平均300円なら、300円X2万点=600万円という計算が成り立つ。
いずれにしても大きな数字だ。でもこれだけじゃあない。セールの前の通常の売り上げの数字もあるからだ。したがって、年間の総売り上げがさらに大きくなり、1000万を超えてしまう可能性は十分ある。
たとえば、1月から10月までの通常の売り上げが、月平均50万円x10か月=500万円。さらに11月~12月にやった閉店セールの売り上げが、600万円だったとすると、
この年の売り上げ全体は、500万円+600=1100万円、ということになり、多額の消費税を払う必要が出てくるだろう。(※実際におさめる金額はたぶん80万円ぐらいと推測される)
そこで
閉店セールをいつにすべきかということが問題となる。実は、適切な時期を選ぶことで、消費税の魔の手から逃れることは簡単にできるのだ。
例えば、
先の例のように、秋から年末にかけて閉店セールをやるのは、明らかによくない。
11月~12月にセールをやれば、優良店舗ならほぼ間違いなく、1000万は超えてしまう。だから、この時期を選ぶのは絶対にダメ。
そこで、
閉店セールを翌年の1月~2月、または3月~4月に行うことにする。翌年の早い時期にずらすことで、小さな店なら年間売り上げの数字を1000万円以下に抑えることができるはずだ。
それでも、1000万円に近づいてしまったらどうしたらいいか。
そのときは、その時点で年内の営業を中止すればよい。そして、改めて翌年に営業を再開する。
まずは、いろいろシュミレーションをしてみることだ。
普段は1000万超えないように小さな店は配慮するものだが、初めてやる閉店セールだ。間違いがあってはならない。もっとも、大きな売り上げがあっても申告しない、という剛の者もいそうだが・・。
❼閉店セールまでに何をやっておくべきことか。
セール以前にもいろいろやっておくべきことがある。つまり、布石を打っておくのだ。閉店セールだけ頑張ればいいのなら苦労はしない。
具体的に述べると
会計や商品プライスの取り次げなどの作業の簡素化し、労力と時間の節約に努める。浮いた時間は、閉店後の人生への準備に当ててもいいし、アルバイトやサイドビジネスをしてもいいだろう。
利益を残せる人は時間を有効に使える人でもある。必要に応じて営業時間を短縮したり、週休二日~三日にするのもいいと思う。
また、プレセールと言ったらいいか、閉店セールの1~2年ぐらい前から、2~3割引き程度の軽いセールをときどきやった方がいい。つまり、閉店セールを複数回に分けて行うという考え方だ。
在庫すべてを閉店セールでいっぺんに裁くのは大変だ。プレセールである程度まで在庫を減らしておくと、本番の閉店セールでの混乱をおさえることもできるし、消費税の心配も軽減できる。何よりも普段セールをあまりやらない店主の場合は、
セールの感触をつかんでおくことも必要なことだ。
最後の閉店セールだけで、全部やってしまおうというのは感心しない。
最後になるが、
買取広告などの宣伝はストップし、在庫はこれ以上増やさない。商品を店頭に並べる際はいつもより安めにし、売りやすくしておく。倉庫在庫の足の遅い、売りにくい商品は早めに店頭に出しておく。
たとえば、ボックス物、LPオリジナル盤、SACD専用ディスクなどがそうで、最後まで取っておいて、売れ残ってもしょうがない。
要するに、閉店セールをやるまでに、できるだけ店を身軽にしておくということ。
ホップ、ステップで準備をすすめ、最後のジャンプが閉店セールというイメージだ。1~2年前の準備段階から、実際には閉店セールは始まっていると思わなければいけない。
最後のセールさえやればそれでいいなどという単細胞な頭しかないのなら、ニワトリと何ら変わらない。
❽まとめ。山の正しい下り方。
山登りは、登りよりも降りる方が難しいという。気を付けないとケガをしたり、道に迷ったりする。
山は、登り方があるように、下り方もある。事業も山登りと同じこと。衰退期に入ったら、上手く下りることを考えなければいけない。下りには華もなければ名誉もない。話題になることも皆無だしツマラナイ。
だが、上りだけが経営ではない。下りもやはり経営なのである。
衰退期の処し方の成否は、その後の人生にも影響する。そして、その運命の時は必ずやってくる。見方を変えれば、まさに経営者としての本領が試される場。その意味で、初めて本気で取り組んだ、先のわたしの体験も、知恵の限りを尽くした貴重な経験。今となっては貴重な財産だと思っている。(了)
次回以降の掲載予定!
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※以上、順不同。
※多忙により、次回ブログは10月以降になる予定です。ご了解願います。
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