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中古レコード店を開業したくても、親が猛反対だ~! あなたならどうする?
更 新:2022-11-19
テーマ:中古店の開業マニュアル
店の開業に反対する親をどうやって説得したらいいのか? 効果的な説得の仕方について、筆者の実際の経験をもとに解説する!
<目次>
❶親の反対で中古レコード店を開業できない!という、よくある現実。
❷仕事のことで親戚と縁を切る!
❸店舗物件の契約には、親の保証が必要!
❹親と同居してるなら、開業準備期間中の親の協力は必要だ!
❺親とはそもそも保守的なもの。反対するのは当たり前!
❻口先だけで親を説得できると思ったら大間違いだ!
❼反対する人を説得するための、最善の方法とは?
❽言葉と同時に行動することが大切!
❾行動力を発揮すれば、物事は勝手に動いていく! その有効な行動の仕方とは?
❿勤務先の会社を辞めるタイミングは、いつがいいのか?
⓫必死に頑張って準備する姿を見せることこそが、最高の説得力になる!
⓬まとめ。人生を後悔しないためには、どうすればいいのか?
次回以降の掲載予定!
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❶親の反対で中古レコード店を開業できない!という、よくある現実。
若い人が「会社を辞めて、店をやりたい」といっても、親や親戚が諸手をあげて賛成してくれるなどということは、まずない。「自分の好きな道を行け」などと背中を押してくれる親はごく稀な存在だ。
当然、親の反対は最初から覚悟しておかねばならない。(既婚者の場合は、配偶者だが、ここでは取り上げない)
中古レコード店や古書店をやりたいと思う人は多い。
しかし、開業を志す若い人がまず最初に戦うべき相手が、親や親戚であることがほとんどだ。なんともやっかいだが、これが最初の、しかも最大の関門となる。そして大半の人がここで難儀し、結局あきらめざるを得なくなるのだ。
(※そうでなければ、中古レコード店や古書店を開業する人は、もっと多いに違いない。もちろん、うまくいかずに辞める人も多くなりそうだが。)
私も、親とは就職や開業のことで10年にわたり、戦い続けた。最初の大喧嘩のさい、家を出て別居していた時期もあったものの、結局、貯金ができないという理由で家に舞い戻り再び親と同居するも、仕事や店の開業の話ではその後も大ゲンカを繰り返した。
❷仕事のことで親戚と縁を切る!
私の場合、自分の仕事は自分で決めたいという、人並み以上の強いこだわりがある。世の大半の人が成り行きで決めているのとは対照的だ。
恥を覚悟で書くが、
私は23歳のとき、独断で転職したさい、その仕事の内容(飛び込みの営業)に文句を言った親戚の叔父(父の兄)とは、こちらから縁を切っている。
親戚のことはまあ、どうでもいい。縁切りしたからといって、困ることは何もない。うるさい外野はいないほうが、むしろスッキリする。私の場合、社会人のスタートで、就職のの失敗、転職、仕事に関する親との対立、そして親戚との縁切り、といった一連の出来事を経験し、それまでの学生時代とは打って変わった、嵐のような社会人生活の幕開けとなった。そしてそのことが、その後の長い長い逆風人生の始まりを象徴していただろうことは、今にしてみれば確かなことのように思う。
(※原則、自営業者の人生は、逆風が当たり前!それが正常な姿。だから頑張れるし、強くもなれるのである。逆風万歳! 平穏無事が好きな人は、開業するなッ!)
転職に反対した私の叔父は、けっして悪い人ではない。だが、ただの親戚ではない。この人は何といっても田中本家11代目当主であり、その権威を笠に着て、あちこちの親族の家庭問題に首をつっこんではやかましく意見をするところもあった。見るからに馬面で、高々と長く伸びた鼻を持ち、性格もよく言えば豪放だが、ずうずうしく厚かましかったために、一族から「天狗」とあだ名され、揶揄されていた。
本家の当主に面と向かって逆らうわけにもいかないが、こちらから一方的に縁を切らせてもらった。その叔父は、その一件以来、一度も顔を合わせることもないまま、十数年前に他界している。
❸賃貸物件の契約には、親の保証が必要だ!
親の反対は、親戚よりはるかに深刻で大きな影響がある。断っておくが、私の家は特に親子の仲が悪いというわけではない。多分普通である。ただ私は、いったん腹に決めたことは絶対に変えることがないという性格であり、普段は温厚な母親は、私以上に頑固な面があった。そして平素は何もなくても、仕事や店の開業のことで、いったん口論になると、1時間でも2時間でもケンカが続くこともよくあった。こちらが大きな声で主張をすると、向こうはそれに輪をかけ、狂ったように反撃してくるので、始末に負えなかった。
それでも、何とかして親を説得いなければいけないと思ったのは、店の開業には親の協力がどうしても必要だったからだ。中古レコード店をやるために、店舗物件を借りようとすれば、当然、親の保証がいる。一人では契約できない。通常、賃貸物件の保証人というのは、働いて収入のある身内に限られる。親戚でも、協力してくれる人がいればいいのだが、リスクのある保証は断られる場合が多いのが現実だろう。それと
血縁関係のない友人、知人は、そもそも保証人の対象にはならないことは、知っておくべきだ。
また、
保証会社の利用を考える人もいるかもしれない。だが、私の知る限り、居住用のマンションの保証人ならいざ知らず、初めて店を開業する人を保証するような会社はないはずである。仮にあっても、保証金額がバカ高いなどの、かなり厳しい条件が付くのではないか?下手すれば、それはヤクザな会社かもしれず、手出ししないほうが賢明だ。
したがって
事実上、物件の保証人というのは親か、でなければ理解のある裕福な親戚に限られるのである。
(※保証人は親に頼むのはいいが、お金を出してもらうよう頼むのは御法度だ!お金は全額自己資金が原則!)
❹親と同居してるなら、開業準備中の親の協力は必要だ!
もう一つ大事なことは、中古レコード店や古書店の開業準備の場合、準備期間中(通常1年間ぐらい)、大量の初期在庫(最大でダンボール100箱)を、家に保管しておかねばならないということだった。それには、家族の協力がどうしても必要だった。
私は、
大量の在庫品を収納するための場所として、自宅の屋根裏にわざわざ床板を自分で張った。(この作業に1か月かかった)それでも出張買取で買い集めた在庫を収納しきれず、部屋や階段、玄関などいたるところを、はみ出したダンボール箱が占領することとなった。
家は極端に窮屈になり、さらにはドアや窓の建付けも悪くなって生活に支障をきたしてくる。家族にはかなりな我慢を強いることになるため、了解を得る必要があったのは当然だった。
今はレンタル倉庫の普及のおかげで、こういう苦労も不要である。その点、便利になったが、親と同居しながら準備を進めるなら、やはり同意がないと思うようにはいかないことには変わりがない。
❺親とはそもそも保守的なもの。反対するのは当たり前!
ここでしっかり押さえておくべきは、
親の本質は保守的だということ。反対は当たり前なのだ。気にしたって始まらない。だから、店の開業を志すなら、その反対をどうひっくり返すかを考えるのである。(私は、「飛び込み営業」の経験があるが、この業界では
「セールスは断られたところから始まる!」と言われている。)
親の意向を尊重するとと、やがて自分本来の人生をいつまでたっても始められないというジレンマに直面し、苦しむことになる。親を尊重するか、自分の人生を優先させるのか? 誰にとっても、親とは上手くやりたいと考えるのが人情だ。だが、
一生の大事で親の意向を優先させ、後悔するのは結局、自分である。親は自分より早く死ぬ。そしてあとには、恨みだけが残ることになるのである。
❻口先だけで親を説得できると思ったら大間違い!
では、どうすれば親を納得させ、同意を得ることができるのか? それが大問題。(※もちろん、状況によっては親を完全に無視してもいい場合もあるだろうが)同意を得るにはコツがある。それをしっかり理解し、実践すればいい。
もし、この問題をうまく解決できれば、今後の人生上のあらゆる問題解決にも広く応用できる。今後の人生の大きなパワーとなるのである。
ところで、相手を納得させられない人は、なぜそうなのか?
それは、言葉だけで何とかしようとするからだ。だいたい、言葉ほど薄っぺらく信用できないものはない。言葉など屁のようなもの。実態がない。口だけペラペラうまいが、どうも信用できないという人は、あなたの周囲にも1人や2人いるだろう。
では、信用を得ている人はどうやって説得しているのか?
❼反対する人を説得するための、最善の方法とは?
答えは
「行動で説得する」である。言葉がダメなら、行動しかない。「なーんだ、そんなことか」と思うなかれ。行動のパワーほど凄いものはないのである。
百万の言葉を費やしても全く動かなかった事態が、たった一つの行動で大きく変わることは、珍しくない。世界が動くきっかけは、勇気ある最初の誰かの行動であることが多いということは、ニュースをよく見ている人にはお分かりだろう。そしてこれは、家庭や職場でも同じことだ。
結局、物事を動かすのは、言葉ではなく行動なのである。言葉だけでは動かなかった物事が、行動することで、転がるように動いていくのだ。とにかく「行動、行動。また行動!」と覚えてほしい。では、具体的にどう行動すべきなのか? 次は、それについて述べていこう。
(※政界を影で動かす実力者と言われる人たちの中には、不思議なぐらい口下手な人もいることに注目)
❽言葉と同時に行動することが大切!
ただ「店をやりたいから、協力してくれ」と言っただけでは何も始まらない。百万回言ってもダメだろう。もちろん自分の意向を伝えることは必要だし、ケンカにも意味があるから、ほどほどならやったほうがいいとは思う。
大事なことは、口だけでなく同時に行動もしていくことだ。計画を組み、着々と行動を積み重ねていくことが大事なのである。「行動」が伴って、初めて「言葉」にも説得力が出てくる。換言すると「行動の裏付け」のない言葉だけの説得や議論は無駄であるとも言える。
ダメな人の最大の特徴は、相手を説得してから、初めて行動に取りかかろうとすること。先に相手の了解がなければ動けないのだ。こういう人は、結局、何もできない人だ。会社でも上司や部下の信用を得られることはないはず。
逆に、何事もうまくやれる人というのは、言葉と行動は必ず同時であり、一致している。むしろ、行動が先行でもいいぐらいだ。
❾行動力を発揮すれば、物事は勝手に動いていく!その有効な行動の仕方とは?
では、
言行が一致しているとは、具体的にどういうことか?
例えば、店の開業を本格的に目指そうと決意したとする。まず調べる。ネットや人から情報収集し、本を読んで必要な勉強をしっかりする。ノートにまとめ、計画を立てる。
勉強はいったん始めると、拍車がかかり、次々に調べることが雪だるま式に増えてくる。そして、ある程度全体像が見えてきた段階で、親にはざっと話しておいてもいいと思う。もちろん、反対は織り込み済みだ。何か言ってきても、軽く受け流すこと。「まだきちんと決めたわけではないから」とまぶしたり、後は適当にフンフンと返事をするなどの対応でいい。
しかし、反対されても、当然、勉強はそのまま続行する。出張買取の準備、市場調査、物件の下調べ、棚の配置計画、内外装の草案作り、収支計画策定、など、準備としてやっておかねばならないことが山のようにあることが、だんだん分かってくる。結果、あちこち動き回り、ものすごく忙しくなる。下手すると睡眠不足にもなってくる。結果、テレビ、スマホその他の娯楽や無駄な人付き合いは、時間やお金の節約の必要上、大幅カットを迫られる。貯金は、目標金額をクリアするまでは我慢も必要だ。大変だが、楽しい時期でもある。
これらの準備を、親の意向とは関係なく独断でドンドンやっていく。相談しつつも、独断で着々と準備していくことが、大きなポイントだ。そして、反対者に対しては、こちらの取り組む姿勢、行動をしっかり見せていくことが、最大の説得力なのである。
こちらの本気度が分かれば、親のほうも態度もかなり軟化するとはずである。
そして、いよいよここからが本番だ。親の様子を見ながらだが、次は出張買取や棚作り(自作の場合)などの本格準備に着手する。ここが勝負どころだ。
私の場合は、屋根裏に板を張り、初期在庫を保管するための収容部屋を作ったことが、本格準備として最初にやったことだ。
これが上手くいった! 長く暗いトンネルをようやく抜け出し、視界が一気に開けた感じがしたものだ。
屋根裏部屋を新たに作るということは、物の収容に困っていた親にとってもメリットが大きかった。私は、店の在庫品だけでなく、親の物もいろいろ収容できるのだから、と言って、その了解を得たのである。そしてこのことが事実上、開店についての同意も得たことになり、10年間の長きにわたる親子の戦争は、ついに終焉をむかえたのだった。
当然ながら、その後も続く本格準備も、何の問題もなくスムーズに進めることができたのは言うまでもない。
❿勤務先の会社を辞めるタイミングは、いつがいいのか?
ただ、本格準備は会社勤めをしながらできるものではない。適当なところで退社する必要がある。
問題はタイミングだ。営業方針も決まらず、収支計算の見通しもたたないうちに会社を辞めるのはいかにも拙速であり、かといってあまりにも遅いとスムーズに事が運ばない。親の出方も気になる。なかなか難しいが、親の態度が軟化し、収支計算などの見通しも立ったタイミングで、親に相談しつつも最後は独断で退社すべきだ。
(※相手の考えを汲み、こちらの意思もしっかり伝えながら、最終判断はすべて自分でやるということだ。これができないと相手に振り回され、結局、何もできないということになってしまう)
ただ、親が猛反対のまま、勝手に会社を辞めて退路を断つのは、事態が好転する場合もあるものの、リスクも大きくおすすめはしない。それでもやりたいのなら、思い切ってやってみればいい。若いうちなら、失敗してもやり直しも可能だ。
⓫必死に頑張って準備する姿を見せることこそが、最高の説得力になる!
1年間の準備期間中、必死になって取り掛かる。最初は「本気なのか?」といぶかし気に見ていた親も、そのうち何も言わなくなってくるから、実に不思議である。つまりこれは、
本気で動き出した人間は、誰にも止められないということに他ならない。いったん動き出し、さらに加速がついた人間を引き戻すことは至難の業だ。相当大きなエネルギーがいる。
結果、猛反対していた人も、ただただ、見ているしかなくなるのだ。相手も最後まで反対できなくなるのである。
私自身、店のこと以外にも、身内、会社の上司、その他の人の反対を押し切ったり、ひっくり返したことは何度もある。
⓬まとめ。後悔しないためには、どうすればいいのか?。
仕事や結婚など、人生の根幹にかかわる重大事でありながら、身内に反対され諦めてしまう人が多いように感じる。
性格のいい人ほど親との対立を避けようとするから、そうなりやすい。一時の対立を避けたことが、一生、後悔の念にさいなまれることになる。
ならば、
ある時期、親と徹底的に対決し、たとえ、それがもとで一時的に疎遠になったとしても、思い切って対決すべきだ。必要な対決を避けて、後年不仲になり、疎遠になっていく親子も多い。長い目で見たら、しっかりと対決すべきはしたほうがよほど健康的、建設的と思うが、どうだろう。(了)
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