中古レコード店店長の
経営ブログ

中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

中古レコード店の出張料は、なぜ無料なのか?

更 新:2021-10-04
テーマ:買取と販売について

出張料の意味について考える


■ 出張料は無料が常識だが・・・              

現在、市内有名中古レコード店・古書店は、ほぼ全部が「出張料は無料!」をうたっており、当店もそうだ。おそらく全国的にも同じであろうと思われる。

なぜ無料なのかというと、出張買取を促進することで、売り上げ増進をはかるねらいがあるからだ。
出張で年に何回か大口のいい買取があれば、経営の安定化をはかる意味で大きい。
逆に出張も含め、買取が少なければ閉店に追い込まれることになる。


だからこそ優良店と言われるところは、みな大金を払って買取広告を出しているのだ。(海外買い付けの店は別だが)

だが、買取依頼の電話はたくさん来ても、実際には、いい買取は少ないのが現状だ。
当店の場合、実際に出張に行くのは電話10本のうち2~3件ぐらいで、いい買取は、1件あるかどうかである。(この数字は店の方針・やり方によって違ってくる。)

また出張買取というのは、店の負担も大きく、買取は促進しなければならないが、無料であることを考えると、慎重になりがちだ。


■本来、出張はタダではない

出張するには当然、経費がかかる。
電機屋でも水道屋でも出張料は、市内で大体5000円ぐらいが相場だ。
車代(ガソリン代だけではない)や人件費などを考えれば、当然そのぐらいはかかるのである。


中古店の出張経費も、タダなわけではない。
あくまで営業戦略上、「無料」にしているだけだ。


無料であることをいいことに、安易に電話をかけてくる人もいて困るのだが、売りものになりそうなものが量的にまとまっていないと、業者としては出張には行けないのは当然だ。

■出張買取の負担は以外と大きい。

ガソリン代はいろいろある経費の中のほんの一部にすぎず、トータルではけっこうな負担になる。

だから、出張買取にいって、いいものがなかったり、買取が不成立が多かったりすると、長期的には経営にも響いてくるから、しっかりと対策を考えていかなくてはいけない。

ちなみに、当店の場合は、いいものがなくて空振りだったことはときどきあるが、大口のいい買取を買い逃したことは、ほとんど無い。
自分でいうのもなんだが、買取については、今までよく頑張ってきたと思っている。
だから、こんな小さな店でも生き残ってきたのである。


■買取を断られると、怒って出張料を請求する業者もいる。

以前、あるお客さんから聞いた話である。
そのお客さんが、出張に来てもらった中古業者に見積もってもらったところ、金額で折り合いがつかず、断りをいれた。

すると相手の業者が怒り出し、出張料を支払うよう言ってきたというのだ。 
つまり、最初の電話では出張料の話は全くなかったのだが、断ったことで話がこじれ、それなら出張料をもらいますよ、ということらしい。

ひところ、よくあった話だが、今回はこの是非について考えてみたい。

まず現場で話がこじれ、急に出張料のことを言い出した中古業者は、確かにまずい対応であるが、一方のお客さんのほうには、全く問題はなかったのだろうか?

私の見たところ、この人は業者を呼べば気軽に来てもらえ、高ければ売ってもいいが、ダメなら断ればいいだろうと軽く考えていたようである。
しかし、業者のほうは「せっかくわざわざ来たのに」という思いがある。
単に断られたというだけでなく、そのお客さんの自分勝手な言いように頭にきたようだ。


私の考えではあるが、わざわざ遠いところを来てもらった業者に対し、お客さんとしてはキチンと礼を尽くすべきで、安易に断るべきではないと思う。
仮に断るにしても、ちゃんとした正当な理由が必要だろう。


例えば、値段が世間の買取相場と大きく違ってるとか、その業者に明らかに失礼な言動があったというならしかたがないが、売る側はあくまで素人である。
プロの業者に対して値段が安いとか高いだとか言うのは、そもそもおかしなことではないだろうか。(プロと言ってもいろいろいろだが・・・)


断るぐらいだったらお客さんのほうから店に来たらいいし、その場合は売らずに持ち帰るのはいっこうに構わないと思う。

■この業者の言う出張料は、ホテルの「キャンセル料」とは違う

このような出張現場でのトラブルはありがちだが、避けることは可能だ。

大事なことは、まず最初の電話でのやりとりの内容がどうなっていたのか、ということである。

法律(民法)では、相手が商取引の約束(口頭であっても)をキャンセルしたのなら、キャンセル料(損害賠償)を請求できることになっている。
ホテル予約のキャンセル料がわかりやすい例だが、中古品の買取の場合は事情が違ってくる。


電話口でお客さんが「売りたいから来てくれ」といっても、「それは見積りをだした上で、金額的に納得がいけば、売りたい」という意味だ。

電話の段階では「とりあえず見積もりをとる約束」まではしていても、「売る約束」まではしていないと思われるからだ。
そうであれば、お客さんが断りを入れたとしても、業者が「話がちがう!」と言って、出張料を請求することは、おかしなことになる。


■最初の電話対応での「お客さんの見極め」が非常に大事

では業者としてはどうすればよかったか。
まず、最初の電話のやりとりで、相手の状況をよく確かめる必要がある。
引っ越しや遺品整理など、お客さんの方に急ぐ事情がある場合は、スムーズに売買が成立するから、出張することには全く支障はない。


問題は「見積もりが出てから、売るかどうかを考える」というお客さんだ。

こういう人は男性に多い。
お金に強いこだわりをもつタイプで、思ったより安ければあっさり断ってくる場合があるから要注意だ。

確かに高額査定(10万~)になる場合は、合い見積もりをとろうと考える人がいるのは理解できるが、高額になりそうな場合というのは、実際はそんなにはないものだ。
とにかく電話口ではそういうことは言わないことが多いので、もしやと思ったら、こちらからいろいろ質問し、お客さんの本音を聞き出さなければならない。


■出張買取では、どんなお客さんに対しても、スムーズで双方円満に売買を成立させて、初めて本当の成功だといえる

私の場合は、ちょっと問題になりそうな人には、「必ずしも高くなるとは限りませんよ」とか、「お客さんが考えていた値段より安くなる場合もありますが、よろしいでしょうか。」と言って、くぎを刺してみる。
そして相手がどう言うかを聞き出し、様子を見る。

もし反応がよくないようなら、「売るかどうかわからないということなら、出張はむずかしい」と言って、断ってもいい。
高額になりそうな場合など、よほどいい話なら別だが、リスクのあるお客さんのところに、わざわざ行く必要はないと思う。


私見だが(相場に照らした適切な見積もりをしているという前提で)、出張料を無料にしてまで、わざわざ出向いて行くのだから、出張買取については業者主導でいいと思う。

もしお客さんが金額に難色を示したとしても、プロとして堂々と反論、説得すればよい。
私は、相手をキチンと説得し納得させていくのも、仕事のうちだろうと思っている。


■結論

これまでの話をまとめると、出張代をあえて無料にし、買取促進をはかるのはいいのだが、相手によっては見積もりだけ取って、売買が成立しないケースも考えられる。

出張料をもらえるのなら、とにかく行ってみて、ダメだったら出張料をもらってあっさり引き上げるということも考えられるが、無料だとそういうわけにはいかない。

無駄な出張、つまり「空戻り」をなくすことが大切だ。


まず事前電話の段階で相手を見極め、無理な出張はしないこと。
また出張に行った場合は、すべてのお客さんに100%納得し、満足してもらえるような、スムーズで円満な買取を実現させるよう、努力しなければいけない。

私の話をすると、この世界に入って25年になるが、最初の5年ぐらいは、なかなかうまく買取ができなかった。
そのころの売買成功率は90%~95%ぐらいで、数字だけ見るとけっして悪くはない。

しかしこちらの知識不足と交渉の稚拙さで、大口のいい買取が何度か不成立となり、悔しい思いもした。
また成立した場合でも、相手の説得にかなり苦労し、納得が得られるまで相当時間を要したことも多々あった。(まさに難産の連続だった)        

しかしこの5年ぐらいは、私の買取もかなりいい方向に変わってきた。
100%近くの確立で、双方満足いく形で思い通りの買取が、半分以下の時間で、楽にできるようになってきたのだ。

私は不器用なタイプで、何でも習得するのに人一倍時間がかかるほうなのだが、この年になって、ようやくコツをつかめてきたような気がしている。

・・・近々、中古業者様向けに、さらに具体的で詳しい内容をお届けしたいと思います。



■次回以降のおしらせ
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※以上近日掲載予定(順不同、月2回程度の更新)

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