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「まんだらけ」の万引き犯画像公開事件について考える。画像公開は是か非か。

更 新:2023-02-18
テーマ:中古レコード店の経営

まんだらけは、なぜ画像公開しようとしたのか?万引きトラブルに対する警察の対応と経営者の苛立ち。

■まんだらけが自社サイトで万引き犯人の画像を公開すると通告!
漫画古書で有名な「まんだらけ」が、25万円もする鉄人28号のブリキ人形を万引きされたことがあった。 怒ったまんだらけの古川益三社長は、自社サイトにモザイクで覆われた犯人の写真を公開。「指定した期日までに返さなければ、そのモザイクを取る」、と犯人に通告した。 このことは、全国ニュースでも大きく報道され、賛否両論、議論が巻き起こったのでご記憶の方も多いと思う。※1

期限が迫る中、皆がどうなるかと注目していたところ、 警視庁のほうから横やりが入った。画像公開は捜査の邪魔だという理由で、中止の要請が入ったのだ。

また、一部の法律関係者や学者からは、名誉棄損や脅迫罪(画像を公開するぞ、という脅迫)にあたると、反対の声もあった。もちろん、社長の古川氏は法的リスクは承知の上。頻発する万引き窃盗に対し、業を煮やしてのことだったようだ。堪忍袋の緒が切れた、ということか。

中止要請を受けてからも、画像公開に強気の姿勢をくずさなかった古川氏だが、結局悩んだ末に要請を受け入れ、取りやめにした。まんだらけにエールを送る人も多かったが、残念ながら、警察権力によって阻止されてしまった。

世論もそうだが、私としても思い切って公開してほしかったと思う。このような影響力の大きな店舗が、先鞭をつけることで、世の中の流れが変わるかもしれない大きなチャンスでもあった。そういう道をまんだらけには切り開いてほしかった! ※2

(※1 結局犯人は盗品を他店に売ったことがわかり、その後すぐに逮捕された。50歳、男性。詳しくは、他サイトで見てほしい。) (※2 防犯カメラ設置店が増え、小さな店では、万引き犯の写真を壁に張り出す、という事例はその少し以前からあった。まんだらけの事件は、こういう時代の流れの中で起こるべくして起きたものと考えられる。)

■万引き犯罪は、店舗にとっての最大の敵であり、大問題だ!
このような形態の店舗にとって、万引きは最大の悩みの種だ。(もう一つは、従業員による不正) 中には万引きが酷くなり店を閉めざるをえなくなる「万引き閉店」というのもあるぐらいだ。お金の被害だけでなく、店主が精神的にまいってしまうのである。

犯人は成功すると同じ店で何度も繰り返すこともあるし、きちんと止めないと、味をしめて他店でもやる。こうして万引きはどんどん広がっていく。

犯人が中高生の場合だと、特定の店が万引き常習者達のターゲットにされてしまうこともよくある。万引きしやすい店は徹底的にたかられるのである。(私の仲間の店がまさにそうだった!彼は泣く泣く閉店した。)

■法律関係者など信用できるか!
まんだらけの事件では賛否両論意見が分かれたというが、一般の人は、概ね画像公開に賛成だったようである。「まんだらけ、頑張れ!」という応援の声も多かったようだ。

マスコミはこういう場合、弁護士や法学者などに必ず話を聞くが、この人達は人権上の問題があるから反対、と言うに決まっている。 ただ、法律関係者の見解というのは、実態と大幅にずれてることが多い。だから私は全く信用していない。 世間でもそうではないだろうか。

■警察も全くあてにならない!
警察が中止を要請したのは、要するに警察の許可もなく、一企業が勝手に犯人画像を公開するのは、けしからん!ということのようだ。 犯人画像の公開は、普通は警察の許可があってするものだ。それを個人や企業が、許可なく勝手にやられては、困るのだろう。
(週刊誌が重大事件となった犯人、少年Aの写真や実名を公表して、物議をかもしたことがあるが、それはレアケース)

警察は、そもそも大きな事件でないと、しっかりとした捜査はしてくれない。経験のある方はお分かりだと思うが、小さな事件、万引きもそうだし、自転車が盗まれた、などもそうであるが、あまり熱心ではない。

よく、ストーカーに悩まされ、警察にも相談に行ってるにもかかわらず殺されてしまう事件が起きることもあるが、これなんかも警察の見通しの甘さと日頃の怠慢からくるものだと思う。 (もちろん日本にこれだけ犯罪が少ないのは警察のおかげであることは、私も重々承知している。海外だと警官が犯人からワイロを受け取ることも多く、別の意味であてにならない。)

■万引き逮捕は、現行犯で逮捕するか、防犯カメラに映像を記録するか、どちらかだ。
万引きの場合、犯人を捕まえるのは、原則として現行犯でなければいけない。これがまずハードルが高い。スーパーなど大きな店では、複数の店員が対応するからいいが、小さな店だと店主一人で取り押さえなければいけない。
(※逃げようとする犯人を捕まえるさい、ケガをしても困るし、されるのも困る。格闘して犯人にケガをさせた場合、軽ければこちらの責任は問われないようだが、もし骨折だったらどうなんだろう、などと考えてしまう。)

現行犯でなくとも、防犯カメラに犯人の顔の正面画像がはっきり映っていれば、警察も動くだろうが、斜めにちょっと映ったぐらいじゃ、ダメではないだろうか。 よくニュースなどで、わずかに映った画像で犯人が逮捕され、びっくりすることがある。しかし、これは警察が総力を挙げて捜査するような重大事件に限られるようだから、そもそも個人商店には関係がない。

だから、まんだらけの古川社長が、やむをえず、犯人画像を公開しようとしたのは当然のことだ。 万引き窃盗は店にとっては死活問題。古川氏は警察が当てにならないので、自分で解決しようとしたのである。

■自分でどうするかを決めるのが、自営業者というものだ!
自営業者というのは、「自分で考えたことを自分で実行、そして結果についてはすべて自分で責任をとる」ことを課せられている存在だ。それが自営業者の本質でもある。思い切り自由だが、責任も重大だ。※1

一般のサラリーマンとの大きな違いは、そこにある。だから自営業者になるということは、そういう生き方を選択する、ということなのだ。警察や法律家、その他の人が何を言おうとも、最後どうするかを決めるのは、あくまで自分である。※2


たしかに私個人としては、多少返り血を浴びてでも、画像公開を断行してほしかったという気持ちはある。しかしながら、様々なことを総合的に考えた上で、社長の古川氏が最終的に自分自身で決断したこと。それはやはり尊重されるべきことだろう。

(※1 サラリーマンの中にも自立的な人がいるだろうが、少数派だ。あまり自立的だと、へたをすると上とぶつかり、不満分子というレッテルを張られることもあるからだ。そういう人はむしろ自営業のほうが、向いていると思われるので、よく考えてみたほうがいい。このテーマについてはまたの機会に詳しくやりたい。)

(※2 一般のサラリーマンだと、権力者から何か言われたら無条件に、ハイ、わかりました、と言うかもしれないが、本当の自営業者はそんなことはない。)


■危機管理能力を身に着けよう!
人生は戦い、という側面がある。とりわけ自営業者はそうだ。サラリーマンと違い、「自分の身は自分で守る」が原則である。

自営業は大変だと思うかもしれないが、慣れてくるとこれはこれで楽しめる。サラリーマンのような目に見えない変な重圧がないから、自由でストレスもなく、はるかに気楽だ。(※これについては、自営経験のないサラリーマンは自覚できないと思うが、脱サラして自営を始めたとたんにわかるものだ。)

最後に、私が経験してきたトラブル防止とその対処の方法や考え方について、ご紹介したい。


トラブルや災難は、おきてからどうするかではなく、いかに予防するかが9割と考るべき。守りが一番大事! (「孫子」を読めばよくわかる)
万引き対策でいうなら、カウンターや棚、高価格商品の配置をどうするか、入店してきたお客さんにどう対応するかなど、しっかりと対策すること。 まずは万引きされにくい体制を万全に整えることが絶対大事!このへんはよく勉強すること。
そのうえで防犯カメラも必要なら設置すべき。カメラがあるから、もう大丈夫!というのが一番大丈夫ではない。

詐欺、金銭トラブルなどの被害をもし受けてしまったら、泣き寝入りせず、しっかりと対処すること。泣き寝入りは、被害の拡大につながる可能性もある。自営業だと閉店に追い込まれたり、個人でも繰り返し詐欺にあい、被害金額が巨額になる場合もある(カモにされるということ) 学校でイジメを受けた被害者が、抵抗せずにいるとますますエスカレートする構図によく似ている。逃げることなくしっかり取り組む。

トラブル相手の情報はできるだけ収集し、一人でも多くの関係者(相手の家族や知人、会社の関係者や取引相手、など)に、窮状を訴えること。金銭トラブルなら、本人に直接言ってもダメなら、関係者に電話や手紙で、相手を説得してもらうよう働きかけること。
相手が会社なら、法務局に行けば法人登記簿から相手社長の住所電話番号などの情報も得られる。またネットでわかる場合もある。 ※大変だけど、効果は抜群!


④役所、警察、裁判所は、必要に応じて柔軟に活用できるようにする。 ※ただしこれだけにたよると失敗する。

普段から、刑法、民法の基本的なことは、少しは勉強しておいたほうがよい。法律がわからなければ、相手と交渉できない。

法律や警察、行政などの限界をふまえ、それらを超えた第三の方策をさぐり、あらゆる知恵を駆使して創造的かつ柔軟に、勇気をもって対処すること。 非暴力の知的ゲリラ戦法。昔のガンジーの戦い方や、まんだらけの対応はまさにコレ! ※これは高等戦術。応用編。これができたらたいしたもの。


最低限の危機管理能力を身に着けることは、生きていくうえで必要だ。基本的なことをしっかりとおさえ、仮にトラブルが発生しても最小限度におさえられるようにしたいものだ。


次回以降の掲載予定

■買取の仕方にも流儀がある。店の経営方針と買取の流儀の大いなる関係。
■専門店と大型店の査定はこう違う!アナログ方式か、デジタル方式か。
■東京にレコードを売るってどうなんだ? 道外に売ることのメリット、デメリット。
■成功したい人は、こう勉強せよ!三年で人生が大きく変わる!

※以上、順不同。月1~2回の更新です。

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