中古レコード店店長の
経営ブログ

中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

中古レコードを高く売りたい人のための、マナー講座。

更 新:2022-01-26
テーマ:買取と販売

正しいマナーのありかた、考え方と査定の関係。

■マナーの悪いお客さんは、買取を敬遠される
レコードなどを売りに来るお客さんの中に、ときおりマナーの悪い人がいる。
例えば、「これはA店で査定してもらったら○○円だったんですが、こちらでは、いくらになりますか?」あるいは、「ネットで高く売られいるのですが、こちらではどうでか?」などと、 他店やネット価格査定価格を引き合いに出して、買取価格をつりあげようとする人たちである。

ところが、こういうぶしつけな態度で来られると、ほとんどの店主は機嫌が悪くなるから、真剣に査定してくれることはない。顔は普通にしていても、内心腹が立っていることが多い。
だから「このへんは、うちではあまり積極的に買ってないんですよ」と言って事実上査定を敬遠されるか、査定しても安くされることが多い。


こういう人は、せっかく時間をかけて査定してあげても持ち帰ることが多く、まともに取り合うのは時間の無駄だ。(時間の無駄は店主がもっとも嫌うことの一つ)

仮にいい値段をつけてあげても、「う~ん・・・」と、顔は終始しかめっ面。一般のお客さんは喜んで応じて頂けるのだが、それとは真逆だ。
これではどんな店主だって面白いわけもなく、早々に見切りをつけられ、他店に持って行くよう促されるのがおちだ。

1円でも高く売ろうと、いろんな店を査定して回る人は、信用ができない人だと判断されてしまう。(店主は信用の有無を、鋭く見抜ける!)
結局どこへ行っても敬遠され、損をすることになるのだが、不思議なことに当の本人は全く気が付いてない(!!!)


当店で以前、どういうものを高く買取するのか、しつこく言ってくる人がいたから、業を煮やしてこう言ったことがある。

「お客さんね、うちは信頼関係を大切にして買取しているんですよ。だから初めて来たお客さんにそんなこと言われてもね・・」
「・・・・・・・・・・」

初めての人だからといって、高く買わないわけではない。
ただ、初対面の人が、なれなれしい態度でしつこく言うことではない。(当たり前でしょう?)

自分のしていることがどうなのか、自分がどう見られ、どう評価されているのか、二十代後半と思われる、このお客さんは、まるで気づいていなかった。
相手のことなどどうでもよく、とにかく言えばなんとかなるだろうという、雑な感じが、無礼極まりない。


こういう人は、人生もなかなかうまくいかないものである。不愉快を通り越し、最後は気の毒な感じもした。

■商取引の常識とは?

商取引というのは、双方の信頼関係がなければ、そもそも成立しないものである。

企業間でも信用がない相手先とは取引しないし、商取引ではないが、個人間のお金の貸し借りだってそうだろう。就職面接でも、態度が悪い人は、どんなに優秀でも採用されることはないが、それと同じことだ。

そして商取引は、双方がウィンウィンでなければ、やる意味はない。(自分と相手を公平に考えられる視点が重要)
したがって、自分さえよければいいと考える自己中心的な人とは、ちゃんとしたお付き合いは当然できない。


こういうことは、四十過ぎの大人には、常識以前の当たり前のことなのだが、二十代の若い人には、難しいかもしれないが・・・。

(世間の常識がわからないという若い諸君は、もっと本を読んで勉強すべし!!)


■店が高く買いたくなるお客さんは、どんな人か?
では、逆に店はどういうお客さんに対して、高くしているのだろうか。
当店の場合は、次の場合に、相場より1~2割ほど高めに買うことが多い。(この割合は店によって異なる)

①いつも買いに来てくれるお客さん
②何度も売りに来てくれるお客さん
③初めてのお客さんでも、謙虚で店の立場を理解できる良識のある人

以上のお客さんについては、言われなくとも高めにつけている。

①については当然であり、どの店も高くしていると思う。そうじゃない店もあるかもしれないがそれは例外で、個人経営の店としてお世話になってる大事なお客さんには少々高めにつけるのは常識であり、当然の礼儀であろう。

ただし、ここで注意したいのは、高くといっても節度というものがある、ということだ。あまり極端な高値をつけてはいけない。

一部の親しい常連さんを優遇(ひいき)して、破格の値段で買い取る店も昔はよくあったが、いまの時代としては、全く非常識であり、感心できない。
たしかに優遇してもらった常連さんは喜ぶかしれないが、その分、一般のお客さんは、かなり安く買いたたかれることになるのだ。
(こういうことで喜んでるお客さんも、全く非常識で、無責任だと言わざるをえない。)
お客さんの間で買取価格に大きな格差が生じ、著しく公平を欠くことになる。

このような公私混同を平気でやる店は、自ら経営を壊しているに等しく、世間からの信用を得られることは絶対にない。


昔はこういうチャランポランな店はごくふつうにあったものだ。
そしてこういう店(よく言えば、人情に篤い店?)もそれなりに面白さ、はあっただろうと思う。ただ、残念ながら、これでやっていける時代ではなくなった、ということだ。

逆説的だが、お客さんの立場で考えれば、ゆるくてチャランポランな店と正統派の店が多数混在していた昭和の時代が、やっぱり面白い。ガチガチの正統派しかない現代は窮屈で寒々とした感じがするのは、私だけだろうか。

②の場合、物さえ良ければ、2回目以降は相場以上の値をつけるようにしている。信用がつくからである。
店にとって、定期的に売れ筋品を持ってきてくれる人ほど、ありがたい存在はない。
だからこういうお得意さんは、店としても大事にしているのである。


ただし、何度か来ている人でも、金欲物欲丸出しな感じの人はやはり、敬遠される。長く安定した取引が期待できないからである。

結局、店が高く買うお客さんというのは、キチンと売れるものを定期的に持ってくる人で、査定した値段に細かく注文をつけたり、持ち帰ったりしない人だ。
「店に全てをお任せします。」というおおらかで謙虚な姿勢
だから、好感が持てる。店としても安心して査定できるのである。

■買取価格は、相場だけで決まるわけではない。
ここまでお読みいただいて、特に若い人は、以外に思われた人も多いのではないだろうか。

もちろん買取には相場というものがあり、それがベースになることは、良識あるすべての店に共通している。
ただ知っておいてほしいのは、 査定というのはそれだけで決まるわけではない、ということである。
どの店にも、ジャンルの得意、不得意、好み、景気の良し悪し、在庫状況、保存状態、など様々な要素があるから、それらをプラスマイナスして総合的に判断していく。
素材は同じであっても、店により味付けは違ってくる。
(普通は、基本相場価格の割合は50%~60%ぐらいか?店によって、数字は違う)

そして、マナーの良し悪し、信頼の有無、といった人間的要素も、一部のお客さんについては、査定に加減されていくということだ。


中古レコード専門店や古書店の査定は、大型店のように、機械的(デジタル的)ではない。

相場という基準はありながらも、実際の査定はファジーでアナログ的な部分がある。相場を中心にしながらも、もっと総合的で、人間的な要素があるものと考えてほしい。買取金額というものは、物自体の価値のみならず、わざわざ持ってきてくれた謝礼だという考え方もできるから、ファジーになるのは当然だ。

それこそが本来の査定というものなのだが、平成育ちの若い人は、そのへんのことがわからないから、マナー違反をして店主を怒らせてしまう。勘違いも甚だしい。
(周囲の人は、ちゃんと注意してあげてほしい!)

今、流行りの「査定比較サイト」やら、ブックオフなどに代表される「大型店」などの悪い影響もある。
だからこそ、専門店はそういう風潮に流されることなく、あくまでも商売の常識を大切にしてほしいと思う。 (※専門店と大型店の違いについては、またの機会にゆずる。)

■マナーはお互い様
お客さんのマナーについてかなり厳しく書いたが、もしかすると、店側の都合のいいように書いているのではないか、虫がよすぎるのではないか、と思う人もいるかもしれない。

もちろん店側も配慮しなければいけないことは多々あるだろう。
昭和のころに比べたら、ずいぶん改善されてきてるとは思うが(昭和の店主は、怖い店主が多かった)、まだまだ横柄で威張っているイメージが強い。

だったら、お客さんのほうも、店主のマナーが悪いと思ったら店、二度と行かなければいいだけの話だ。※1

あまりにひどい店は、結局やっていけなくなるのだから※2

(※1 ときどき、あの店の店主は・・・と、他店の店主のついて、激しく悪口をいう人もけっこういる。 だがよくよく話を聞けば、店主に嫌われる原因はその人にある、ということがわかる。 私は本人にそれを告げるべきか否か、いつも迷うのだが。)

(※2  ただし、ある人には、横柄で鼻持ちならない最悪の店主であったとしても、その店の常連さんからは、多くの絶大な支持を受けていることもまた、事実である。特に個性の強い店主に関しては、両極端な評価になっていることは、この業界では普通のことだ ということも、同時にご理解いただければと思う。)

■まとめ
今回は、「高く売りたい人のための・・・・」と言いながら、そういう人からは、高くは買わない、という結論になった。
矛盾するようだが、よくよく考えてみれば、実に常識的で当たり前な話である。

(世の中にはこういう矛盾が、いかに多いことか。まさに矛盾だらけだが、人間として成長すれば、そういう矛盾も理解できるようになる。)

結局こういう人は、周囲が見えてないのである。
商取引でも他のことでもそうだが、何をやるにも、必ず相手というものがある。
だから相手の気持ちや立場をわかったうえでないと、何事もうまくいくものではない。


若い世代は世俗的な欲求が強いものだが、(そのこと自体は大いに結構)人によっては、周りをよく見ず暴走しがちで、事故や対人トラブルなどを起こしやすくなる。
頑張れば頑張るほど、欲が空回りしていく。(私も若い頃、そういう時期があった!)

だからこそ、周りや相手をよく見て、ちゃんと走る必要があるのではないか、と言うのである。
こういう人は、自分のことで精一杯で、周囲に配慮する余裕がない。

自己中心で突っ走ると、必ず世間から頭を叩かれ痛い思いをする。
何度も何度も叩かれ、自分の愚かさにだんだんと気づいていく。
そうすると不思議なことに、いつの間にかマナーが良くなり、周囲との関係も改善され、人生も軌道に乗り始めるのである。


こういうことは、若い諸君には、何か逆説的で何か禅問答のようなことのように思われるかもしれない。
だが、40過ぎの人にとっては、おかしなことでも何でもない、実に当たり前のことなのである。

■次回以降の掲載予定
■常連客は優遇されてる?常連客の損得勘定。
■「まんだらけ」の万引き画像公開予告事件について考える。画像公開は是か非か。
■買取の仕方にも流儀がある。店主の経営方針と買取の流儀の大いなる関係。
■万引きトラブルはこう防ぐ!当店の万引き事件体験記。
■専門店と大型店の査定はこう違う!アナログ方式か、デジタル方式か。
■東京にレコードを売るってどうなんだ?道外に売ることのメリット、デメリット。

※順不同、月1~2回程度の更新

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