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中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

中古レコード店を開業するのに、なぜ修行は必要なのか?最も効果的な修行の仕方、考え方はコレだ!

更 新:2022-06-16
テーマ:中古店の開業マニュアル

店を開業する前の下積み期間に、経営の勉強と修行経験は、必要な経営力をつけるうえで絶対欠かすことはできない。では、修行は、どこでどう取り組めばよいのか、修行の正しい考え方について徹底的に解説する。

目次
■レコードに詳しいことと、レコード店の経営ができることとは、別の事だ。
■経営感覚とは、何か?
■下積み修行の目的は、経営力をつけることだ!
■全く経営を知らなかった、S古書店の話。
■経営は、ゲームの攻略と同じだ。
■経営がわかる人が少ないからこそ、成功できる!
■小さな商売だと、比較的簡単にマスターできる!
■修行の場所は、中古レコード店である必要はない。
■私の修行時代の話。
■修行の場所は、小さな職場のほうがよい。
■なぜ私が、こんなにしつこく経営について書くのか?


■レコードに詳しいことと、レコード店の経営ができることとは、別の事。
レコードに詳しいからといって、必ずしも中古レコード店経営ができるわけではない。料理をうまく作れる人が、レストラン経営ができるとは限らない、というのと同じことだ。これなら自分でもできそうだ、などと安易に店を出して大失敗するケースは、はいて捨てるほどある。

ハッキリ言うが、商売について何もわからないシロウトが、十分な修行や勉強をせず、店を出すなど、自殺行為だ。無免許ドライバーが、いきなり高速道路で暴走するようなものだ。 こういうバカな人を見ると、腹が立つ。修行も勉強もいらないと思ってるらしいが、それは昔の話だ。(何とかなったのは、昭和末まで!) 

現代は、たとえ小さな商売であっても、経営力が試される時代である。したがって、「経営を見る眼力」をつける修行、言葉を変えれば「経営感覚」を磨くために、修行が必要だ。

後で述べるが、 修行といっても、中古レコード店でバイトしろ、という話ではない。修行は、なにも中古レコード店でなくとも良い。 (むしろ、中古レコード店でないほうがいい。)

では、どうしたらいいのか?その話に行く前に、「経営感覚」を磨く、というのはどういうことなのかを、しっかりと理解してもらいたい。

■経営感覚とは、何か?
野球 にたとえてみる。初めて野球をする子供は、 ボールの感覚 をつかめず、当然ゴロは取れない。練習を繰り返すことで、やっと取れるようになる。ボールの感覚が徐々につかめるようになってくるのだ。さらに練習を積めば、考えなくても 勝手に体がボールに反応して動くようになる。 やがて、ボールと自分が完全に一体化するときがくる。こうなればしめたもの。ボールに対する「感覚」がしっかりと身についたのだ。

どんなものでも、「感覚」とは、そういうものであり、それは、泥にまみれて身についていく、と考えるべきろう。経営の感覚といっても、一般の人にはよくわからない、何か雲をつかむようなものであろう。だが、「経営感覚」は確かにある。 この感覚を身に着けた真の経営者は、常に状況に応じた正しい判断ができるのだ。だから、めったなことで崩れることはなく安定感があるのである。

経営は生き物である。そしてそれは、感覚に基づく合理的な計算でもある。

プロの経営者は、常に時代の風向きや、お客さんや同業者の動向を注視しながらも、ときには大胆な決断をしていく場合もある。たえず動いていく状況をしっかり捉え、短期、および中長期のシュミレーションをいつも頭の中で行い、アイデアを発想し、的確な判断力で問題解決を図っていく。

■下積み修行の目的は、経営力をつけることだ!
「経営感覚」は磨くためには、経営に関する本をたくさん読んで勉強し、さらに正しく修行経験を積む。こうすることで、誰でも経営力をつけることができる。ちょうど子供が、練習すれば誰でも自転車に乗れるようなものである。 もちろん、最初は苦労もある。だが、いったん覚えてしまえば、生涯、自転車にのることができる。

店を開業して、一生やっていけるかどうかは、この「経営感覚」を持てるかどうかで、ある程度決まっていく。しかも、この感覚は、他の業種に商売替えしても、応用できる。 ツブシがきき、生涯、個人事業主で生きていくことが可能になるのだ。

■全く経営を知らなかった、S古書店の店主の話。
20年以上前の古い話だが、当時、Sという古書店があった。あまり儲かっているようには見えなかったが、専門である文学にはかなり詳しかった。私はあるとき、そのS店主に、「そちらの店では、粗利益率は、何%ぐらいを目安にしてますか?」と、質問したことがあった。

開業当初、当店はレコードよりも古書の割合が多かった。そして、 平均の「粗利益率」が65%ぐらいと、かなり低くて困ってもいた。(※350円で仕入れたモノを、1000円で売った場合、粗利益率は65%だ。) 粗利益率が低いということは、買い入れが高い割に、売り上げが小さいことを示していた。 そしてそれが、経営を圧迫する主な原因だと思ったので、その先輩店主に相談したのである。その当時、躍進していたブックオフの粗利益率が80%ぐらいだという話も聞いていた。

ところが、その店主は、ちょっと意外という感じで、「えっ?」といい、「粗利益率のことなんて、考えたことない。」と言ったので、こっちがびっくりしてしまった。さらに、「考えたこともなければ、誰かと話したこともない。今そちらに聞かれて、初めて考えた。」と言ったのだった。私は、札幌の古書店の経営レベルは、こんなにも低いのかと、驚くやらあきれるやらで、二の句が告げなかったのを記憶している。

その店主は、北大出身でフランス文学に詳しく、ちょっと変わり者だが、優秀な人だ。ただし、「経営」については、なにも知らなかった。だがここで言う「経営」というのは、ただ単に店を営業する、ということではない。 経営理論に基づいた正しい考え方や経営手法を実践し、合理的に利益を出していく、ということを意味している。

その店主は、売り上げを増やしたいということは、いつも口にしていた。売上が確保されなければ、店の存亡にかかわるから、当然だ。しかし、いくら売り上げに対する気持ちが強くても、 利益を効率よく出すための、経営的考え方、手法を知らなければ、どうにもならない。実は、商店経営の理論や手法というのは、すでに確率されている。利益を出すには、それらをしっかり学ぶ必要がある。

残念ながら、彼はそういうものが存在するということすら、まったく知らなかった。まるで、ゲームをしている子供が、 ゲーム攻略の正しい方法 を知らなかったため、負けてばかりいるようなものだ。

■経営は、ゲームの攻略と同じだ。
どんなゲームでも、正しい攻略法を学び、実践を重ねれば、感覚も鍛えられ、やがて勝てるようになるはずだ。 経営もゲーム攻略と同じである。(経営には、「経営戦略」とか「経営戦術」という言葉がある。) ただ、闇雲に矢を放っても、マトに当たるというものではない。そんなことをしていても、利益を出せる日は、永久にやってこない。

(※私が「経営」に一番近いと思うものは、おそらく 「囲碁」と「将棋」 だろう。強くなろうと思えば、繰り返し本で勉強し、実践経験を積み、感覚を脳に刷り込むようにして、徹底的に鍛えるしかない。ただ何となくやってても、永久に強くなれない。実際に囲碁将棋をやってる人達には、常識である。)

(※レコード店経営を考えるうえで、注意しなければいけないのは、ジャズの権威とか、ロックの権威とか言われるような店の存在である。これらの店は、特に経営的なことを考えなくとも、営業できているのも事実だ。 だが、そういう権威ある名店というのは、誰でもつくれるというわけではない。 他の業界でも、いわゆる 「カリスマ〇〇」 と言われるような人は特殊な存在である。ちょっと努力したからと言って、誰もがそうなれるというものではない。だから、 安易にそういう店のマネをせず、まずは経営の基本ををマスターする ことが、現実的であり、一番の近道だと言えるのである。

■経営がわかる人が少ないからこそ、成功できる!
店をやる以上、売上を伸ばしたい、繁盛させたい、という意欲はみなもっている。しかし不思議なことに、私は今まで、経営を知っているどころか、「自分の経営感覚を磨いていこう」と思っている人にも、出会ったことがない。

商店経営の手法、理論を知っていて実践している人は、少数派だ。 だからこそ、それらをマスターすることで、かなり高い確率で、成功できると断言できる。 仮にうまくいかずにやめる場合でも、大損するリスクはぐっと少なくなる。

(※経営がわかる人は、「引き際」のタイミングも間違うことはない。困るのは、ダメなのにもかかわらず、ズルズル営業を続けて、どんどんキズを大きくしてしまうタイプの人である。 最悪の場合、借金まみれになってしまう。だから、常に経営状態を正しく見極めることが必要だ。仮にやめる場合でも、 できるだけお金が残るように最大限の注意を払うべきで、しっかり計算してタイミングを見逃さないようにする。 こうすれば大損することは、とりあえず防ぐことができるのである。)

■小さな商売だと、比較的簡単にマスターできる!
いろいろ書いたが、実は、 小さな店の経営は、それほど難しいものではない。あくまで基本的なレベルをマスターすればよい。

数学でたとえれば、大企業の経営が、高校~大学レベルだとすると、小さな店の経営は、小学4~6年レベルといってよい。だから、 普通の努力で十分マスターできるはずだ。

しかしながら、基本レベルといっても、勉強も修行もちゃんとしなければ、マスターできない。

ダメな店主は、小学1~2年生レベルの力しかない。これでは経営にならない。では、その人達は頭が悪いのかと言えば、必ずしもそうではない。普通に、大学を出ているような人も多いし、人間的にもなんの問題もない。

ただ、経営の「攻略法」の存在を知らなかったというだけだ。 初心者レベルの認識不足で、失敗するべく失敗した。当然といえば、当然な話だ。

■修行の場は、中古レコード店である必要はない。
ここまでお読みいただければ、勉強や修行の必要性・有効性は理解できよう。しかしながら、修行場を探そうにも、 アルバイトを募集している中古レコード店はほとんどない。

では、どうしたらよいか?

先にも触れたが、 実は経営修行は、必ずしも中古レコード店でなくともかまわない(!!)あくまでも経営を学ぶための修行だから、飲食店やスーパーなどでもいいし、現在、小さな会社にお勤めなら、そこをそのまま修行場にできるのだ。 すなわち、その会社を取り巻く経営環境と、会社の経営状況を、できるだけ把握。社長や同僚社員みんなで、会社の諸問題について考え、アイデアを出し、問題解決を計っていく。そしてその結果の検証もしていく。その過程全体が最善の経営修行になるのである。

これが、ラーメン屋とか、すし屋などの職人仕事の場合は、修行先の味をどうマスターするかという、技術的な要素もある。だから、ラーメン屋は、ラーメン屋に修行に入ることが一般的。だが、中古レコード店の場合は、事情が違う。音楽や、レコードの知識は、もちろん必要だろう。しかしそれは、一人でも勉強できること。わざわざ中古レコード店でバイトしなければいけない必然性はない。

■私の修行時代の話。
私も、中古レコード店で修行したことはない。私の知る限り、中古レコード店での修行経験のある店主は少数派であり、一般企業出身者のほうが多い。

私見ではあるが、厳しい環境で鍛えられた一般企業出身者のほうが、よりしっかりとした経営をしている場合が多いようである。店も繁盛している。

私の場合について書く。本格的に「経営」に目覚め、店を開業することを決意したのは、25歳のときだ。(まだ具体的に何をするかは、決まってなかったが) それからは、当時勤めていた普通の小さな会社で、経営の修行。様々な経験を積んできた。また、経営書・ビジネス書を200冊程度読んで勉強した。

自分のことを言うのは、大変恥ずかしいが、 けっして優秀とはいえない私が、今もこうして店を続けていられるのは、そういう基礎的訓練をしっかりやってきたおかげだと思っている。私の場合は、結局10年以上もの長い間、下積みを経験したことになる。(会社勤務、及び学習塾経営の経験)

今思えば、もう少し短くできなかったかという、反省はある。これをお読みの皆さんは、もっと集中的に努力することで、より効率的にやれるだろうと思う。私の場合は、多少まわり道だったのかもしれない。これは、先生に付かず、すべて独力でやってきたせいもある。

(※相談できるような先輩・経験者が、周りにいたほうがいいと思うかもしれない。ただし、人に頼ってしまうのは、かえって自分がダメになる場合もあるから、兼ね合いが難しい。個人事業主は、あくまでも自分一人で全部やっていく、という覚悟、気概が必要。)

■修行の場所は、小さな職場がよい。
修行する会社は、10人~50人ぐらいの小規模なほうが、うまくいく。大きな会社だと、業務全体を把握しにくく、自分が、単なる一個の歯車でしかなくなってしまう怖れがある。そこの社長と直接、話ができ、経営上の問題について、みんなで一緒に考えていけるような環境こそが望ましい。 (※50人以上でも、経営幹部と直接話せる環境なら、それでもかまわない。)

飲食店を例にとってみよう。 レストランなどでは、ランチタイムの時間帯をどうするかは、重要課題だ。収益をあげるために、この時間帯の「客回転率」をどうやってあげていったらよいかは、店の経営を大きく左右する問題だ。

この時間帯のメニュー、価格、調理方法・手順などを、どう工夫したらよいかを真剣に考えていく。様々なアイデアを経営的側面からみんなで検討し、議論し、実践する。さらに、その結果について検証もしていく。失敗したら、再度議論からやりなおす。これをとにかく、真剣にやる。そういうことが、よい修行になる。

職場では、議論をリードできるぐらい、よい意見を言えるようになることが、とりあえずの目標だ。それができるようになれば、経営感覚が身についてきたということである。

さて、修行場を選ぶときの注意事項は、他にもある。 コンビニなどの、大手フランチャイズ は、経営は本社がコントロールしているので、修行にはなりにくい。 労働時間が長すぎる職場 もダメ。これでは、家での勉強時間が取れない。上下関係が厳しく、 ものが言いにくい、風通しの悪い職場 もよくない。 とにかく、修行と家での勉強の両方を最低でも5年~6年、集中的にやれるような環境に身をおくべきだ。

さて、具体的な修行の中身についてのイメージは、つかめてきただろうか?これについては、次回、私の経験も交えながら、さらに詳しくご紹介しようと思う。

■なぜ私が、経営についてこんなにしつこく書くのか?
私は、この店を始めるずっと前、20代の頃から、脱サラ開業して失敗した人達を、いやになるほど見てきた。 中には多額な負債を抱え、大変な目にあった人も何人かいた。当店を立ち上げて以降も、多くの同業仲間がやめていき、私の前からいなくなった。何ともやるせない気持ちだ。

彼らの共通項は、「経営について、何も知らなかった。」ということにつきる。何も知らないのに、知ってると思い込み、多くの悲劇が生まれている。

先にも述べたが、小さな経営は基本的なことばかりで、それほど難しいものではない。それこそ自転車に乗るようなものだ。 だが、自転車だって練習しなければ、乗れないだろう。問題は、店をやろうとする人にそういう意識、自覚がないことにある。

繰り返しになるが、なんとなく店を出し、訳がわからないうちに、閉店に追い込まれる。そういう人があまりにも多すぎる。こういう残念な状況は、なくしていかなければならないと思う。だから、 個人事業を志す多くの人に、もっと経営について知ってもらいたい。そして、世の中で大いに活躍してほしいと思う。 それが、私がこのブログを書く目的の一つでもある。


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