中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。
七転び八起き!札幌の中古レコード業界を襲った三つの変革の波を、店主はいかに乗り切ったか!
更 新:2024-04-30
テーマ:店主、自営業者、サラリーマン
この30年近くの間に、札幌の中古の業界を襲った三つの大きな変革の波とは何か。そして、中古業界はどうなったか。多くの店が破壊され消えていった一方で、それを耐えしのぎ、しぶとく生き抜いてきた店主たちもいた・・・・。
<目次>
❶厳しくなった、現代の個人店舗経営。
❷札幌の古本、中古レコード業界を襲った、震災級の衝撃の数々とは!
❸当店は、なぜ潰れずにやってこれたのか?
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❶厳しくなった、現代の個人店舗経営。
現代の個人店舗の経営は、環境の変化が激しく大変だ。中古レコード店のような小さな販売店は特にそうで、
世の中の流れや風向きを計算し、右に左にうまく舵を切る必要がある。
まるで嵐の大海を漕ぎ出す小船のようなものだ。舵を切るタイミングや方角をちょっと間違えただけで、転覆するリスクがあるのである。
「中古レコード店を開業して、のんびり生活したい」などと、のん気なことを考える人がいたのは、ずいぶん昔の話だ。変化の大波に飲まれ、岩礁に叩きつけられ、古本店、中古レコード店が無残な姿をさらすことが普通となった今は、そんなことを言う人はすっかりいなくなった。甘いとみればすり寄ってくるが、厳しいとなると掌返しでサッといなくなる。まあ、現金なものだと思う。自分が好きなことなら、多少厳しくともチャレンジしてもいいのでは、とも思うのだが。
❷札幌の古本・中古レコード業界を襲った、震災級の衝撃の数々とは!
近年、この業界を襲い破壊的な被害をもたらした、3つの大波
について簡単にまとめておこう。
①1995年ごろ~2005年ごろ。ブックオフ、ゲオ、ハードオフなど大型店の急増!
大型店に関する規制が緩和され(大店法の改正)、大型店が市街地に急増した。そのため、小さな個人店舗の多くはやっていけなくなり、廃業を余儀なくされた。
大型店という核爆弾が落下し炸裂すると、半径3キロ圏内の個人店舗のほとんどが、跡形もなく吹っ飛ばされ、10キロ圏内の個人店舗も半身不随で、廃業せざるを得なくなった。この当時、いつ自分店の近くに落ちてくるかとみな戦々恐々だったが、結局は市内全域が焼け野原状態になってしまった。大型店の出現がすべてを変えたのだった。
(※けしからんことに、国からは小型店舗に対する営業保証金などは一切なし。
勝手に法律を変えておきながら、おかしいではないか。農業漁業への営業補償はするくせに、これは差別である!税金なんか払う必要なし!)
②1995年ごろ~2005年。ネット通販革命。
このころ同時に進行していったのが、ネット通販革命だ。
最初はブックオフなどの大型店への対抗策として、個人の古書店を中心に急速に普及。その3年後に中古レコード店でも広がり始めた。
ただ店主の中にはパソコン嫌いの人も多く、またネット通販は長時間労働を強いられることから、ネットを導入するかしないかで業界全体が大揺れに揺れた。何もせずそのまま閉店していった店も多かった。
③2005年ごろ~。中古レコードの国際価格の破壊的な上昇。
最後の波は、世界的なレコードブームの影響で欧米を中心に中古レコード価格が大きく上昇したことだ。これにより多くの日本の中古レコード店の店主は、青くなって頭を抱えることとなった。
今までアメリカで安く買えたオリジナル盤が、大幅な価格の上昇により、買えなくなってしまったのだ。
特に、
海外買い付けオンリーでオリジナルレコードを調達をしてきた個人の専門店は、たちまち首が閉まってバタバタと廃業。
今はあまり残っていない。
❸当店は、なぜ潰れずにやってこれたのか
当店が開業して以来、これらの危機的な波が断続的に業界を襲った。震度7クラスの大地震が、繰り返し次々とやってくる、そんな感じだった。
それでも、私が何とかやってこれたのは、
変化に適切に対応してきたからだと思う。
次々襲ってくる大波を、左右にハンドルを切り、あるいはギアチェンジを繰り返しながら何とかうまくしのいできた。
経営でも何でもそうだが、
ピンチのときこそ、適切な手をしっかり打つ必要がある。現状打開のためには、新しいことにもどんどんチャレンジするという姿勢が大事なのである。そうすることで、ピンチを脱し、新しい状況が開けてくるのである。ピンチをチャンスに変えていくのだ。
苦労もあるが、それをやりきってこそ頑張ったことになるのだ。先を見据えて、営業方針を変える。ある部分では支出を大胆にカットするも、必要なところは思い切ってお金を使う。「頑張る」とはそういうことだ。ただ現状維持で粘ればいいというわけではない。
日本人の多くは、決まり文句のように「頑張ります」という。しかし、それはただの口癖にすぎない。
こういうことを安易に口にする人は、怠け者であり、あまり信用できない人だと見ていい。実際、頑張るといいながらも、何の手も打たない。頑張るというのだから、何をどう頑張るのかと見ていても、特に何かをするというふうでもない。その人にとってはただ何となく現状維持で粘っていれば頑張ったことになるらしい。勘違いもあるようだが、
現状維持では頑張ったことにはならないのである。
そういう当たり前のことがわからないから、あとあと困ったことになる。口先だけの、安易な人が多すぎる。(了)
次回以降の掲載予定!
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※以上、順不同。月1~2回の更新です。
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