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中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

中古レコードの針飛びは、こうして防ぐ!ー①かけるプレーヤーでこんなに違う。

更 新:2021-11-10
テーマ:聴き方・選び方・買い方

キズ盤レコードの返品事情と針飛び防止法について


■中古品は、返品に応じないのが原則である
お客さんのなかには、「中古レコード屋の店主はガンコだから、返品に応じないのだ」と思っている人がいるが、そうではない。
中古品は、「新品」とは違って返品不可が原則の商品だ。

これはレコードに限ったことではない。
古書、骨董、リサイクル、中古関係の店はみな同じで、ブックオフやハードオフなどの大型店も、原則返品不可だ。


中古レコードの場合、一番問題になるのが、盤キズの「針飛び」による返品だ。
針飛びしたレコードを返品に来るお客さんがいるが、店によってその対応は分かれる。

返品不可の原則は堅持しつつも、場合によっては条件付きで柔軟に対応する店もあれば、理由のいかんにかかわらず、いっさい応じないガンコな店もあり、いずれにしても簡単ではない。
第一、無条件に返品に応じていたら、中古店の経営は成りたたず、背に腹は代えられないという事情もある。

正当な理由があれば、店も返品に応じるのが当然と思うかもしれないが、はたして針飛びが本当に「正当な理由」に入るかどうかは、実は微妙な問題なのである。

それはなぜか。
針飛びは、正しく処置をすることで、ほぼ防ぐことが可能だからだ。
返品にくるのは、こういうことを知らないレコード初心者がほとんどで、ベテランのお客さんはあまりいない。

だから店が無条件に返品応じることは、初心者ばかりを優遇することとなり、公平を欠くことになってしまう。
単に針飛びしたからというだけでは、返品に応じられるものではないのだ。

■そもそも中古品レコードは「痛みがある」ことが前提の商品である
新品は、キズがあれば「不良品」として、返品・交換の対象になるのは当然だ。
しかし、中古品の場合は必ずしも「不良品」ではない。

お客さんとしては、美品のほうがいいとは思うが、
中古店の立場では、ある程度の傷・痛みは許容すべきものだと考える。

まだ聴ける貴重なアナログレコードを、多少のキズで全否定すべきではないし、店主のなかには、採算度返しで修繕作業をする人もいるようだ。(私もある程度まではしているが)

■針飛びするかどうかは、お客さんしだい
店はレコードの盤状態を適切に評価し、ラベルに表記する。
中古品は痛みがあるため、通常は新品より安い価格を設定し、店頭に出す。
店の責任はここまでである。

もし、ラベルの表記に明確な間違えがあれば、返品を受け入れる店は多いだろう。
(※実際には、ラベル表記が適切か否かで、トラブルになることもある)
また、一切返品を認めないガンコ店主は、きちんと検盤しなかったほうが悪い、という考えだ。

このタイプの店は、お客さんからは不興を買うが、そういう店も中にはあってもいい。
これは、「レコードは自分の責任で買うものだ!」というガンコ店主の強いメッセージだと考えるべきだろう。

■初心者とベテランにある格差

キズの反応というのは、かけるプレーヤーによっても全然違うし、キズの手入れの仕方によってもかなり違う。
店にあるレコードというのは、キチンと手入れされているわけではない。(というか、できない)
だからお客さんが購入後、自分で手入れをすることになるが、上手くできる人とできない人、やり方を知らない人など、さまざまだ。


だから、ちょっとしたキズでポンポン飛んで、頭を痛める人もいる一方で、キズだらけのレコードでも、なんとか問題なく聴いているベテランの猛者もいて、その格差は大きい。

■中古レコードを正しく検盤できる人は意外と少ない

検盤はただ見るだけではダメで、キズの部分を指でさわって感触をみなければ本当のことはわからない。
だから店主に言って触らせてもらうといい。(勝手にやると怒り出す店主もいるから要注意)
指の腹で軽く触ってザラザラ、チクチクなどの感触がある場合は、深くて危ないキズだが、ツルツルなら、浅いキズだから針飛びのリスクはほとんどない。

あとは自分の装置でかけたらどうなのか、キズは修繕できるか否かなどを考えたうえで、購入すべきなのだ。

よく「このキズは飛びますか?」と聞いてくるお客さんがいるが、これはハッキリ言って愚問だ。
私は「当店のプレーヤーでは飛びませんが、お客さんのプレーヤーでどうなるかは、わかりませんし、お客さんがキズの手当てをどうされているのかにもよるので、なんとも言えません」と答えている。


■高いプレーヤーは針飛びしない?

キズだらけのレコードでも、中古レコード店のプレーヤーはめったなことでは針飛びしない。
(※当店の装置は10万円位で、針圧は1~1.5グラムに設定)
返品にきたお客さんが、持ってきた針飛びレコードをこのプレーヤーでかけてみても、全く飛ばないので、たいてい「あれっ??」という反応になる。

今までの経験だと、本当に飛んだのは10回のうち、わずか1回ぐらいで、適切な処置を施せば、ほぼ0になるのではないだろうか。
他店も同様だと思うが当店でも、お客さんが持ってきたレコードは、実際にかけてみて、飛ばないことを確認したら、ご説明のうえお引き取り願っている。

■飛ぶ飛ばないはアームの違いか?

私の経験では、針飛びする人は、1~2万の針圧調整がないような、安いプレーヤーを使っていることが多く、おそらくこれが最大の原因だ。

安いプレーヤーは、そもそもアームが軽くて華奢で、いかにも飛びそうだ。
逆に、高いプレーヤー(6~10万)はアームが重くしっかりしていて、安定している。 (※オーディオ店で実際にアームなどに触ってみると、よくわかる)

船に例えると、ヨットとタンカーの違いだ。
ヨットは、ちょっとした波風を受けても大きく揺れるが、巨大タンカーは、嵐の中でもびくともしない。


安い装置で中古レコードをかけるというのは、まさに嵐の海(キズ盤)をヨットで航行するようなものではないだろうか。
いつ転覆(針飛び)してもおかしくない。


普通にシンプルに考えれば、子供でもわかる当然の理屈だと思う。
何でもそうだが、プレーヤーも値段相応で、いいものは針飛びしにくいのだ。


これからも長くレコードライフを楽しんでいきたいのなら、ぜひ高くても安定感のある、プレーヤーで聴いてほしい。


■安いプレーヤーで聴く場合は、躊躇せずコインを乗せるべし

どうしても安いプレーヤーで聴きたい人は、アームにコインを乗せ、針圧を重くして、針飛びを防ぐのが一般的だ。
(※ちなみに1円玉は1グラムだ)
いちいち乗せるのがめんどうな人は、最初からセロテープで貼りつけておくといい。

困ったことに、コインをのせることに抵抗のある人もいる。

針の摩耗が心配なのかもしれないが、針は消耗品である、と考えるべきだ。
たとえ年1回の針の交換が、半年に1回になったとしても、針飛びの心配なく聴けるのなら、実に安いものである。

またレコードの溝が痛むのでは、と思う人もいるかもしれないが、実際に擦り切れるぐらい聴くのは、購入したもののうち、ほんの一部にすぎない。


そこは、「愛聴盤」として複数枚持てばいいだけの話だ。

小さなお金を心配しながら、コセコセ聴こうというのは、つまらない生き方である。
ちょっとお金を使うだけで、その何倍もの豊かで実りあるレコードライフを満喫できるのだから、気にすべきことではない。


また、コインを乗せることを人に知られたらかっこう悪い、と思っている人も多いようだが、全く余計な考えである。
レコード鑑賞は100%個人的な行為であり、他人は関係ない。


かっこうを気にするよりも、安心して聴ける環境をしっかり整えていくことのほうが、はるかに生産的で大事なことだ。

■中古店には暗黙のルール、常識がある

中古レコード店というのは、小規模な個人経営がほとんどだから、お客さんのほうも返品や値引きなど、多少無理なことも、言えば何とかなると思う人もいて、トラブルになりやすい。
私もトラブルは好きではないから、そうならないよう極力努めている。


中古レコード店には、その業界の基本的なルールやマナー、常識などがあり、それをお客さんと共有することで、トラブル防止の役目をはたしている。
(※全国の有名レコード店のサイトをみても、以外と書かれていない)

脅かすわけではないが、ベテランでもあまりわかっていない(あるいはいいかげんな)人もいて、あちこちの店でトラブルを起こし、結局行く店がなくなっていく。
また、こういう人はネットでもトラブルをおこし、やはり取引が困難になる


若い人は、ぜひレコード店との適切な付き合い方を知って、いいレコードライフを送ってほしいと願っている。

※10月~11月上旬は、かなり忙しかったため、(睡眠時間もあまりとれなかった)今回の掲載が大幅に遅れましたことを、お詫び申し上げます。今後しばらくの間は、何とか月2回程度のペースでお届けできると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

■次回以降の掲載予定
■中古レコードの針飛びはこうして防ぐ!②ーどんなキズでも修繕できる(11月下旬)
■中古レコードのノイズは、水で洗って取る!(12月上旬予定)
■高く売りたい人のための「マナー講座」
■中古レコード店の店主は、こだわりが強いガンコな職人気質?
■常連客は、はたして優遇されているのか?常連客の有利不利。
※以上、順不同、月2回の更新

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