中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。
中古価格の高いレコードの買取が、必ずしも高くなるとは限らない理由ーその2
更 新:2021-09-12
テーマ:買取と販売
中古レコードの価格と買取の値段のシクミについて考えるーその2
■買取価格への疑問
お客さんの買取価格への疑問あるいは疑念は、けっこう根強くあるようだ。
今回は、引き続きさらにつっこんで説明をしたいと思う。
売れ筋のレコードと、そうじゃないモノがあるために、同じ価格のものでも買取には違いがあると前回書いた。
お客さんが、中古価格が同じ2000円であるレコードを2枚、店に持ち込んだ場合を考えてみよう。
もし店がそのうち1枚を800円で買取り、もう1枚は200円の買取りしたとする。
この場合けっこう値段に落差があるが、それに対し、違和感を訴えてくるお客さんも少なからずいるのである。
最近は前もって値段を調べてくるお客さんも多くなっているためだ。
店でも一応、言われれば一応の説明はキチンとするのだが、どうもあまりピンとはこないようである。
実は、私自身、最初よくわからなかった。
実は価格のシクミというのは、この仕事を何度も失敗を繰り返し経験し、何年もかけて、ようやく少しづつわかっていくものであり、そう簡単に誰でもわかるというものではないのである。
頭というよりも、体で覚えるという感じだ・・・
話をもとに戻そう。
人は、同じ中古価格で販売されているモノなら、商品価値は同じはずだ、という先入観がある。
それなら買取の値段も同じにならないとおかしいのでは?と考えるのが自然であろうが、実はそう単純なものではない。
■マイナーなレコードでも、いいモノは安売りしたくない
また、買取価格は、売れるのが早いのか遅いのかで決まるのだ、とも書いた。
棚に出してらすぐに売れてしまうモノが高く、遅くて、売れ残る可能性の高いモノが安いというわけだ。
だったら、なぜ売れないモノ、回転の遅いモノは最初から格安価格で出さないか?
同じ2000円の価格で出すのではなく、売れないモノは、1000円にすればドンドン売れるのではないか。
だが残念ながら、必ずしもそうはならない。
中古レコードは安くすれば売れるというわけではないのだ。
それですむならこんなに楽なことはないであろう。
単に需要と供給の関係で価格を決めているわけでもない。
マイナーで、あまり見たことがないレコードでも、店主が歴史的、音楽的な価値を認めることがあり、この場合は安売りしにくい。
店主の好きなレコードについてもそうである。
こういった場合は、たとえ売れ残ったとしても、中古価格は少し高めににつけることになる。
もちろん、売りにくいとわかっているので、経営上、買取ではそう高くはつけられない。
■なぜ、レコードは値下げしても、売れるとは限らないのか
商売の経験のない人は、何でも安くすれば売れると思うらしい。
もちろんそういう場合も多い。
だがめったに出ないレコードで、ごく一部の人しか、その歴史的、音楽的価値を認めていないような、マイナーなレコードの場合、店に出しても、すぐには買い手が現れるわけではない。
これは、そのレコードを求めているお客さんが少ないためで、必ずしも値段の問題ではないのだ。
ごく少数のいるだろうと思われる潜在的なお客さんが、見たら必ず買っていくに違いないと思うからこそ、安売りせず店においておくのだが、なかなか来ないものだから、店としては困ってしまう。
もちろん、値下げしたからといってそのお客さんが急に現れるということでもないから、必要以上の安値はあまり意味がない。
処分するのはしのびないが、あまりこういう商品が増え、棚を占有してくると、経営を圧迫するので考えものだ。
■ネットならなんでも売れるというわけでもない
今はネット販売の店が主流の時代である。
ひところはネット販売が絶対有利だと言われたものだが、今はそうでもないのではないか。
ネット上ではプロアマ入り乱れての安売り合戦になりやすく、売れないものはやっぱり売れない。
店売りも、ネット売りも、いずれも、なかなか難しい時代なのかもしれない。
■次回以降の掲載予定
■出張買取の出張料は、本当に無料なのか?
■レコード屋の店主は、こだわりの強いガンコな職人気質!
■敷居が高い店でも大丈夫? 正しい店内マナーあれこれ。
■店で中古レコードを高く売るコツ。
■誰でも中古レコード店経営ができる!・・・わけではない。
■常連客は、はたして優遇されてるのか?常連客の有利、不利。
■買取料金が後払いの店は注意が必要。
■一度購入したモノは返品できるのか?よくある返品トラブル。
※以上、順不同、月2回程度の更新
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