中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。
閉店で成功する人、失敗する人。店主の正しい引き際の心得とは。
更 新:2025-06-15
テーマ:中古レコード店の経営
<目次>
❶閉店にも、成功と失敗がある!
❷事業が衰退してきたら、取るべき手段は二つしかない。攻めか守りか。
❷大金を残して辞めるのが、理想の辞め方。
❸まず、閉店の時期を決めるところから始めよ!
❹わたしの学習塾時代の成功体験。
❺閉店セールは段階的に賢く!
❻消費税には気をつけろ!
❼
_________
❶閉店にも成功と失敗がある!
やがては
人間い寿命があるように、店にも寿命がある。どんな店も最後は衰退し、終焉を迎える。どんな店もいつかはその日が来るのだが、実は大きな問題がある。
中古店の場合、最後は閉店セールで終わりとなるが、問題と言うのは、これで大金を残し、悠々自適の晩年を送る人がいる一方、ほとんどお金が残らない人もいるということ。下手をすれば借金が残ってしまうことすらある。両者はまさに雲泥の差。天国と地獄といっていい。
よくあるダメなケースは、貯金が底をついて家賃が払えず、あわてて半額セールをやって、そのまま閉店、というパターンだ。もともと経営不振で閉店に追い込まれたわけだから、店頭在庫にもいいものはなく、セールをやったところで大したお金にはならない。もし家賃を何か月も滞納していたり、金融機関から借り入れがあった場合は、借金が残る可能性もある。当然ながら、閉店後も生活のために必死に働き続けなければならなくなる。
なぜ、ダメな店はこうもダメなのか。一番多いケースは、経営不振にもかかわらず、何の策もないまま、ただズルズルやって、ますますダメになったパターン。こういうズルズル店主は家賃を滞納している場合が実に多い。もう一つは、大金をはたいて、無謀ともいえるテコ入れ対策をバタバタやるも、そのすべてが裏目に出て、返って死期を早めたケースも少ないながらもある。これでかなりの借金が残ってしまう人もいる。
いずれにしても、閉店する1~2年前から準備をして、正しい対策をしっかり打っていけば、こんなにひどくはならないはずだ。
ありがたいことに、中古店の場合は閉店セールと言う切り札がある。どんな商売でも失敗すれば借金まみれになるリスクはあるが、先に触れたように、中古店は閉店セールのお陰でそのリスクはゼロではないがかなり小さいと言える。ただし、家賃の長期にわたる滞納があるとか金融機関からの借入金があり、なおかつセールをやっても売れ筋があまりないという場合は、マイナス部分を埋めきれない可能性も当然ながらあることを覚悟しなければいけない。
❸商売が衰退してきたら、取るべき手段は二つしかない。攻めるか、守るか。どちらにするかをまず決めること!
商売の業績の衰退、悪化の理由は様々で、いくら頑張っても悪化するときは悪化する。
ここで留意すべきは、一旦、本格的な衰退期に入ると、相当大きなテコ入れ、業務改革をしない限りは、状況は変わらないということ。これは経営における慣性の法則だ。
業績の悪化が明らかになれば、今後の方針を決めなければいけない。取るべき選択肢は2つ。
一つは、悪化の原因を突き止め、業務改革でテコ入れし、V字回復を狙うという、「攻めの経営」を展開するということ。もう一つは、回復は諦めて、円満な閉店に向けて舵を切ること。閉店は仕方がないが、できるだけ経営のクオリティは維持しながら延命処置をしていく。こちらが「守りの経営」ということになる。
いずれにしても、ここは経営者としての真価が問われる試練の場だ。
誤解のないように、もう少し詳しく述べる。「攻めの経営」が成功すれば確かに理想だ。だが、先に触れたように、手間もお金もけっこうかかるし、失敗のリスクもあって諸刃の剣だ。思い切って大手術をしたものの、失敗して患者が死亡することはよくあることだ。実際、札幌の某有名レコード店でも、多額な投資が裏目に出て破綻を早めた例もある。
特に、日頃の経営がしっかりしていない店の攻めはかなり危険だ。自信がなければ手を出すべきではない。
そこで、できるだけ利益を残しながら「円満な閉店」を狙うという考え方も当然ある。はたからは、けっして大きなことをやってるようには見えなくとも、無駄な作業を合理化し、出費を抑えながら、閉店の日までうまくやっていく。そして、グライダーのようにきれいな着地、ソフトランディングが望ましい。これが今回のテーマである「守りの経営」だ。派手さはないが、リスクもない。成功すれば満足感も大きい。
ただし、ハッキリ言っておくが、「守り」=現状維持ではない。誤解しないでもらいたい。通常の意味での守りとは、各ジャンルの棚の品質を常に保ちつつ、売れるプライスを付け、その整備を怠らないということだ。
ただし、閉店に向けての経営となると、それだけではない。コストカットで経費や時間を節約、また無駄な業務の全面的な見直しも積極的にやったほうがいい。これはちょっとした技術と勇気も必要だが、経営に鼻が効く人ならご理解いただけよう。
残念ながら、中古業者を含む個人事業主で「守りの経営」を理解している人は本当に少ない。私から見れば大きなザルで水を汲んでいるようなもの。荒っぽくていいかげん。われわれの業界の意識レベルはまだまだ幼稚園、せいぜい小学生並みでしかないと思う。
(※野球の場合、守りの重要性は、野球ファンなら子供でも知っている。
守りの強いチームが実際に勝つからだ。にもかかわらず、中古店では大の大人が「うちは守りでやってます」などと平気な顔で言う。これにはもう笑うしかない)
❸最初に、閉店の時期を決めるところから始めよ!
では、閉店に向けての経営をどう進めたらよいか。わたしの考えを順に述べていきたい。
まず最初にやることは、閉店の時期を決めることだ。
これを決めなければ、物事は一歩も進まない。
もしも、あなたがカンのいい人なら、時期を決めたとたんに、具体的にやるべきことが次々と頭に浮かぶだろう。
閉店の時期を決めるということは、努力すべき目標地点、着地点が明確になるということ。着地点とはすなわちゴールだ。
人は、ゴールを決めて初めてそれに向けての道筋、スケジュールがはっきりと見えてくるものなのだ。
ここで閉店に向けての経営を「閉店モード」と名付けよう。閉店の時期が決まればおのずと頭も心も閉店モードに切り替わるはずだ。
ここで問題なのは、閉店の時期がいつにするかということ。
決定から実際に閉店するまで、あまりにも期間が短くては準備ができない。できれば2年ぐらい前から徐々に切り替え、1年前からは全面的に切り替えることが望ましい。決断が遅くては、閉店セールもうまくいかなくなる。
閉店モード経営のキモは、業務全体をスリム化することだ。業務をできるだけ簡素化し、廃止できるものは廃止する。時間もコストと考えること。出費だけでなく、無駄な作業、無駄な時間が何なのかを、しっかり考えメスを入れる。これをやりぬくことで「閉店の勝ち組」になれるのだ。
❹わたしの学習塾時代の閉業成功例。
閉店するにも賢いやり方がある。広げた羽を少しずつ、段階的に折りたたみながら、いかに利益を最大限に確保しながら着地できるか。うまくやればかなりな貯金を残すこともできる。
実は、わたしは前職の学習塾経営をわずか5年半で閉業した経験がある。学習塾は私が29歳で脱サラして初めて本格的に取り組んだ事業だったが、あまり向いているとも言えず、悪戦苦闘した割にパッとしなかった。それでも、最後はさまざまに工夫をし、最終的には450万円という、当時のわたしにしては驚くほどの大金を残して辞めることができたのである。
一人経営の小さな学習塾。業績低迷とストレスが原因で辞める決断をしてから、実際に閉業するまで2年。
閉業を決めた時の貯金額は250万ぐらい。それが、閉店モードに切り替えてからみるみる貯まりだし、最終的に450万円に。学習塾は中古店の閉店セールのような閉店前での大きな収入はない。にもかかわらず、これだけの大金が残せたのはわれながら驚いた。手前味噌にはなるが、まずはわたしの閉店モード経営の実践例を詳細にご紹介する。
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①
まず、辞める1年半前に格安物件に移転して、大幅な家賃コストの大幅削減に成功した。月10万円の物件から5万円の物件に移転したのだが、交渉の末、途中からさらに月2万円にまで下げてもらった。この家賃カットはかなり大きかった。
家賃の値下げ交渉を1度もしたことがないという店主は多いが、そういうのはダメだと思う。経営状態がどうであれ、値下げ交渉は積極的にやるべきだ。管理会社が入っている物件だと交渉は大変だが、この物件は一軒家の2階の間借り物件。大家さんとも直接交渉ができた。犬も歩けば棒に当たる。人づての紹介だったが、人間、必死になれば運も味方するのだ。
②
宣伝チラシをやめて、20万近くのお金を浮かせた。閉業するのだから、これは当然。
➂
仕事を整理圧縮し、時間のあいた隙間の曜日に印刷業のサイドビジネスを始めた。
生徒数は大きく減っていたので、(中3だけ残してあとは解散したため)サイドビジネスで収入減を補った。当時、学習塾はプリントなどを印刷する輪転機を持っているところも多く、わたしも人から安くもらい受けた機械を持っていた。そこで、電話帳に簡単な広告を掲載し、格安で印刷を請け負った。
結果、片手間ながら月々10万近くの売り上げになり大いに助かった。持っている資産は最大限に活用する。印刷業の副業はわれながらいいアイディアだった。
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さて、以上の3つが私が閉業にあたり、実践したことだ。
そして、残った450万がちょうど今の店をやるための資金になった。最初から、次に古本屋をやるなら450万は必要だなと思っていたから本当に驚いた。私の学習塾仲間の先生で二人が多額の借金を抱えて閉鎖したことを思えば、まさに奇蹟と言うべきだ。
変な話で恐縮だが、
人間は、その人が本来進むべき道を行けば、天が後押しをしてくれるということがあるようだ。よく天命というが、わたしが運の流れを強く体感したのは、この時が初めてだ。いくら考えても不思議だが、結局、自分は自営業者として生きる運命にあるのだと確信せざるを得なくなった。運命は信じる信じないではない。体験するものだ。
ところで、学習塾と中古レコード店とはずいぶん違うだろ、と思った人もいるかもしれない。ただ、私がここで言いたかったのは、
経営であれ何であれ、知恵を絞り、考えられるありとあらゆる手段を使って、しっかり自分の道を切り開いてほしいということだ。
このブログでもなんだかんだ言っているが、方法は一つではない。あとは自分で探しながら、実行してもらいたい。ボクサーでいえば、打たれてガードを固めたかと思えば、トリッキーな動きで相手をかわし、すきを見ては多彩なパンチを畳みかける。ストレートもあれば、ボディブローもある。どんな時も変幻自在。必ずしも教科書通りではない。
経営もボクシングのようなもの。あの手、だけじゃない。あの手この手だ。一つだけじゃない。三つも四つもだ。ここぞというときは、自分の中のありとあらゆる知恵と経験を総動員。非力なわたしが長年やってきたことはこういうことだ。
❺閉店セールは段階的に賢く!
いよいよ、閉店セールの話題に移る。
中古店は学習塾や飲食店と違い、最後は閉店セールでお金を稼ぐことができる。そのため、余程のことがない限りは、借金が残ることは考えにくい。それでも、
閉店セールのやり方しだいで売り上げは大きく違う。
たとえば、セールの売り上げが普通なら500万だったものが、賢くやれば600万。もしかしたら700万もありうるのだ。閉店セールは賢くやらなければいけない。
さて、閉店セール中は、いつもは暇な店主でも目が回るほど忙しくなる。
始まったら最後、連日の大盛況。最後は、ほぼ売りつくして閉店を迎える。ここまでは一直線。売れ残りはごくわずかだ。
余談だが、私の知る店主たちはみな、セールに押し寄せるお客に圧倒され、こんなんだったら、もっと前から安くしておけばよかった、と一様に驚きと反省の感想を述べるも、あとの祭り。うれしいような、悲しいような。多くの店主は、セールを経験して初めて経営のコツの一端を知ることになる。最後の最後に目からウロコ。いつも思うことだが、なんという皮肉だろう。
ここで留意したいことがある。
それは、最初からいきなりの半額セールは、もったいないということだ。
やはり2割~3割引きから順番に入るのが本筋で、それで売れ残ったら5割引きにすればいい。急いで安売りするのは損でしかない。本来得られるはずの利益は失うべきではない。
閉店セールにおける最大のテーマは
利益をどう最大化するかである。先にも触れたように、最初は2~3割引、次に5割引きと、さらに7割引き、最後は100円均一にすると、在庫が無駄なくほぼ一掃でき、なおかつ、利益もそんなに失わずに済む。このようにして、閉店セールのプライスは、4~5段階を経て、少しずつ下げていくのが原則だ。
ただし、
倉庫在庫が大量にある場合では閉店セールのやり方も少し違ってくる。大量であれば捌くのに時間もかかる。もしかしたら3か月、またはそれ以上の長丁場になるかもしれないから、しっかり計算しておく必要がある。
また、倉庫の在庫というのは、一般的には未検品であり、プライスも確定していない。問題は、大量にある倉庫在庫にこれからいちいちプライスを1枚1枚つけてもいられない。時間をかけた作業をする余裕はない。
そこで、売り方に工夫が必要になる。
こういう場合は、店主がざっと見て、このダンボール箱のレコードは2000円均一とか、こっちの箱は1000円均一とかに分けておく。検盤はお客にセルフでやってもらえばいい。売れた残りは週ごとにだんだん値段を下げていく。
在庫が店頭のみの場合は、1か月~1か月半もあればほぼ終了できると思う。閉店セールは期間が短かすぎるとさばききれないが、いたずらに長くなっても、家賃などの固定経費が無駄になる。また、セール終了後の、店内の跡片付けなども1~2週間はかかるだろう。こういうこともあらかじめ計算に入れ、計画を組んでいく必要があって、なかなか難しい。
セールは短すぎず長すぎず、スムーズに合理的に行うことで、利益を最大化しなければならない。セールが始まってすぐにお客がどんどん来てくれればいいが、下手をするとお客が周知するのに時間がかかってしまい、思ったほどさばけないということがおこる。一か月もたってからようやくお客も気が付き始め売れ出すが、時間がかかった分、予定していた閉店期限がずれてしまう。
これを防ぐポイントは、セール期間の周知を、早めにやっておくことだ。いきなり、来月からセールだと言ってもお客はすぐには来てくれない。常連客はともかく、市内のすべてのレコードファンに浸透するまでにはある程度の時間がかかるのである。セールを本当の成功に導くには常連客だけでは不十分で、普段来ていないお客にも来てもらわなければいけない。そうでなければ利益の最大化を図ることはできない。
HPやSNS,店頭の張り紙などで、最低でも1か月から1か月半。しっかりと、大々的に宣伝すべき。よく考えて日程を組んでから実行するのがよい。もっとも、閉店セールについてあまり大きな声で言わない店主もいるが、閉店は決して恥ずかしいことではない。自分の事業の集大成として、フィナーレを飾ろうということだ。堂々と大々的にやったらいい。それを恥ずかしいと思うのは、何らかのやましさ、あるいは心の貧しさの表れだ。
❻消費税には気を付けろ!
ところで、閉店セールは何月にやるべきか。これは大きな問題だ。なぜなら、税金対策を考える必要があるからだ。もちろん店主の都合もあるだろうが、ここでは消費税に絞って考えていきたい。
閉店セールの売り上げは実に大きい。店の規模にもよるが、一人経営の店でも300万~1000万ぐらいになるかもしれない。この上にセール以外の通常の売り上げも加算されるから、合計すると大変な金額になる。もちろん個人商店の多くは、1000万を超えないように調整しているとは思うが、閉店セールは大きな落とし穴。普段そんなに売り上げのない店が、不覚にも1000万超えてしまったら・・顔面はたちまち蒼白、しばらく口もきけなくなるほどのショックに見舞われることだろう。
そこでまず、閉店セールの売り上げを事前に予測しておく必要がある。たとえば、全部で2万点の在庫があるとして、付いているプライスが平均1000円だったとする。これをセールで平均500円に値下げして全部さばいたとすると、
平均500円x2万点で、セールの総売り上げは1000万円。
もし、平均300円での販売なら、300円X2万点=600万円、という計算だ。
さあ、どうだろう。いずれにしても大変な数字だ。そして、さらにこの数字が通常の売り上げに乗っかると、年間の総売り上げがさらに大きくなり、1000万を超えてしまう可能性は十分ある。
そこで
閉店セールをいつやったらいいか、ということが問題となる。実は、
適切な時期を選ぶことで、消費税の魔の手から逃れることは簡単にできる。
例えば、
先の例のように、秋から年末にかけて閉店セールをやるのは、明らかによくない。
1000万円超える可能性は高くなるから、この時期を選ぶのは愚の骨頂。
そこで、
閉店セールを翌年の1月~2月、または3月~4月に行うことにする。翌年の早い時期にずらすことで、年間売り上げの数字を低く抑えることができる。
それでも、1000万円に近づいてしまったらどうしたらいいか。そのときは、その時点で年内の営業を中止するしかない。そして、改めて翌年に営業を再開すればいい。
いろいろシュミレーションをしてみよう。
結論としては、閉店セールは秋~年末を避け、年初から春の、1月~4月ぐらいまでがいいと思う。利益の最大化を狙うなら、間違っても消費税を払うようなことがあってはいけない。もっとも、大きな売り上げがあっても申告しない、という剛の者もいそうだが・・。
❼閉店セールまでにやっておくべきこと。
利益を最大限に残すには、セール以前にいろいろやっておくべきことがある。つまり、布石を打っておくのである。閉店セールだけでいいのなら誰も苦労しない。
具体的に述べると、先に触れたように、
1~2年前から会計や商品プライスの取り次げなどの作業の簡素化、営業時間の見直しなどで時間を節約する。浮いた時間は閉店後の人生への準備に当ててもいいし、アルバイトやサイドビジネスをしてもいいだろう。
利益を残せる人は時間を有効に使える人でもある。必要に応じて営業時間を短縮したり、週休二日~三日にしたりするのもいい。
また、閉店セールの前段階で、プレセールをやるべきだ。1~2年ぐらい前から、2~3割引き程度の軽いセールをときどきやるようにしたらいいと思う。
在庫すべてを閉店セールでいっぺんに裁くのは大変だ。プレセールで徐々に在庫を減らしておくと、閉店セールでの混乱も抑えることができるし、普段セールをあまりやらない店主はセールの感触をつかむことができる。閉店セールだけでいっぺんにやってしまおうというのは感心しない。
最後になるが、
売りにくい商品は1~2年前からどんどん積極的に店頭に出しておいた方がいいかもしれない。中古レコード店で言えば、ボックス物、LPオリジナル盤、SACD専用ディスクなどがそうである。
ややこしく、売りにくいものはつい後回しになりがちだ。最後の閉店セールで出すのではなく、早いうちに出しておきたい。こういうものを閉店セールでいきなり出しても、下手をすれば、期限切れで二束三文で売らるをえなくなるかもしれない。どうせ出すなら早いほうがいい。
以上は閉店セールまでにやっておくべきことだ。意外に思われたかもしれないが、少しでも多くの利益を残そうと思えば、準備は必要なのだ。ホップ、ステップで準備をすすめ、最後のジャンプが閉店セールのイメージだ。セールさえやればそれでいい、という単細胞な頭ではニワトリと変わらない。
❽まとめ。山は登るときより、降りる方が難しい。
山登りは、登りよりも降りる方が難しいという。気を付けないとケガをしたり、道に迷ったりするからだ。
登るときに登り方があるように、降りるときには降り方がある。事業も人生と同じで、衰退期に入ったらどうすれば上手く下りられるかを心掛ける必要がある。衰退期の過ごし方、そして最後の幕引きは特に慎重に考えたい。
成功した経営者と言うと、創業時の頃や全盛期のかけての華々しい活躍のエピソードを語る人は多い。しかし私から言わせると、こういう経営者の姿と言うのは一側面にすぎない。閉店するにあたっての経営についても大切であることには変わりはない。しかしながら、こちらの方は同業者間でも話題にのぼることは皆無であり、しっかり目を向けていこうという人も少ないようだ。
実際には、事業を閉業することは、経営人生の大きな節目・終焉であり、これにどう取り組んでいくのかは、まさに経営者の本領が試されるところだ。創業時の苦労と同様に、閉業時の大変さについてももっと多くが語られなければいけないだろう。先のわたし閉業体験についても、まだまだ未熟だった自分が初めて本気で知恵を絞り全力を尽くした貴重な体験だ。それはいまでも自分の大きな財産になっている。(了)
次回以降の掲載予定!
■マニュアル人間になってはいけない!経営はできないし、サラリーマンはリストラされる。無手勝流、脱マニュアル人生のススメ。
■無愛想には理由がある!中古店主はもともと無愛想な人種なのか。それとも、店をやっていくうちに無愛想になってしまうのか。一体どっちなんだ~!
■店内商品は、川の流れのように回すべし! 中古店の死に至る病、「糞詰まり」はこ解消せよ!
■60歳になるとなぜ急に経営がうまくいかなくなるのか?60歳限界説を検証する!
※以上、順不同。
※多忙により、次回ブログは9月になる予定です。ご了解願います。
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