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万引き少年が逃走、事故死したことが以前あった!店に責任はあるのか否か? 20年前の川崎の、あの事件についてよ~く考える。

更 新:2023-02-27
テーマ:中古レコード店の経営

20年前の川崎の事件で、まったく責任のない古本店の店主になぜ非難が集中したのか?そしてなぜ店を辞めなければいけなかったのか?こうした事故のさい、店主はご遺族に対してどう対処すればいいのかについて、しっかりと考える。


<目次>
❶20年前、川崎で万引き少年が逃走して事故死したことがあった!
❷雪玉をぶつけてきた中学生を追いかけた話。
❸万引き少年を、叫びながら200mも追いかけた!
❹川崎の店主は、辞めたほうがいいのか否か?
❺仕事がイヤになったら、転職すべし!
❻相手のご遺族にはどう対応すべきか?
❼精神的なショックを乗り切る!引きこもりを防ぐには?
★★次回以降の掲載予定!
_____________


❶20年前、川崎で万引き少年が逃走して事故死したことがあった!
以前、川崎の古本店で万引きした当時中学3年生の少年が店から逃走し、列車にはねられ死亡したという事故があった。2003年1月のことで、もう20年もたつ。詳しく書くと、少年は店主に対し万引きを認めたものの連絡先を言わなかったため、店主は警察に通報。駆け付けた警官が任意同行を求めたが少年はそれを拒否して逃走。警官が追ったものの、少年は遮断機の下りている踏切内に入り、列車にひかれ死亡したという事故であった。当時、話題になったので覚えている方も多いと思う。

さらに話は続く。 少年が事故死したことで、古本店の店主に対して数百件もの電話や手紙などによる非難が集中。店に来た人から「人殺し!」などと面罵されたりで、精神的なダメージもあり閉店。その後「店主には責任はなく、やめる必要はない」「もっと、頑張ってほしい」などと、数百件もの励ましの声が寄せられ、ネット上でも店主擁護論が大いに盛り上がる事態となった。店主は、いったんは思い直して営業再開するも、残念ながら長くは続けられず再びの閉店となった次第である。 以上が当時多くの議論を呼んだこの事件のあらましである。(※関心のある方は、調べてみて下さい)

我々中古レコード店にとってもこの事件はまったく他人事ではない。以前、 まんだらけ事件(※当ブログ『「まんだらけ」の画像公開事件・・』参照。2022.2.18)のところでも詳しく書いたように、万引き犯罪は商店にとって死活問題だ。 この店主は当然のことをしたまでで、どの店でもしていることをしただけに過ぎない。悪いのは逃走した少年がであって店主ではないはずだ。

にもかかわらず、なぜ閉店するほどの非難を受けなければいけなかったのか? また、理不尽な理由で閉店を決めたことは、はたして妥当なことだったのか? 今回はこれらについて考えていきたい。

❷雪玉をぶつけてきた中学生を追いかけた話。
ところで、万引きその他のことでは私も子供(中学生男子)を追いかけたことは何度かある。川崎の事故死のことについて述べる前に前に、まずは自分の経験を書いておきたい。

私は前職では小さな学習塾を経営をしていたがそのときのこと。他の塾の男子生徒の集団がこちらの教室にむかって雪玉をぶつけてきた事件があった。 それはある日の授業中のことで、突然ドーンという建物全体に響くようなすごい音がしたので驚いて外へ出てみると、どうやら隣のS塾の帰りと思われる中学男子の集団が、いっせいに走って逃げていくところが見えた。追いかけようとしたものの、相手の逃げ足のほうが速く捕まえることはできなかった。

そういうことが2~3回繰り返されたある日のこと、意を決してS塾の先生にこのことを電話で話した。このS塾の先生とはこれまで何の付き合いもないどころか面識すらない。果たして何て言うかと思ったら、以外にも向こうにも心当たりがあったらしく、謝罪してくれた上に対処もしっかりしてくれ、無事解決したのであった。

すぐに犯人の特定ができたのは、私が被害の日時を正確に把握していたことに加え(そのためにわざと2週間ほど犯人を泳がせておいた)S塾のほうでも他の生徒の内部告発もあったためであった。塾帰りの生徒が悪さをしても、何曜日の何時ごろとわかれば学年とクラスの特定ができる。だからたいていバレる。 相手の先生の話によると、学習塾の生徒のこうしたいたずらは、昔からよくあることだということで、その後は遠慮なく通報することにした。

❸万引き少年を、叫びながら200mも追いかけた!
いよいよ中古レコード店での万引きの話だ。当店の場合はカウンターが出入口付近に設置していることもあり店内の睨みを利かせやすく、万引きは比較的少ないほうだと自負している。(これは、万引き対策の基本中の基本!)それでも、創業初期のころは漫画をたくさん置いていたことから、中高生の万引きはたまにはあった。(※最近の当店のお客さんは驚かれるかもしれないが、開業当初はレコードCDより漫画が多かった)

ある日のこと。店を出たときの中学生と思われる子供の素振りがおかしいことに気が付きこちらも外に出てみたら、急にその中学生が走りだした。手には盗んだらしき本を握っており、間違いなく万引きだ。200メートルぐらいまで必死に追いかけたが、これが私の脚力の限界。他のお客さんを店に残したままというのもまずいので、途中であきらめざるをえなかった。ただし、逃げられはしたものの、犯人に対し何もできなかったわけではない。

どういうことかというと、 私は犯人の背中を追いかけながら「ドロボウー!ドロボウー!」とかなり大きな声で何度も叫んでやったのだ。犯人の逃走する道先には通行人もいる。誰か捕まえてくれれば御の字だが、そうならずとも犯人に与える恐怖とプレッシャーは相当なものがあったはずだ。誰だってこんなふうに追いかけられたら、生きた心地はしないだろう。たとえ逃げおおせても、怖くて今後は万引きは安易にはできないに違いない。少なくともその後、当店には一度も来ていない。 たとえ捕まえられずとも、思いっきりプレッシャーを与えておいて再犯を防ぐ。万引きにはこういうことが大切で、有効な抑止になると思っている。

❹川崎の店主は、辞めたほうがいいのか否か?
以上が私の経験であるが、幸いなことに大きな事故やトラブルにはなっていない。しかしながら、一歩間違えば何が起きてもおかしくはないということも知っておかねばなるまい。ここで再度、川崎の事件に戻って、店主としてはどうしたらよいかをよく考えてみたい。

まず事故が防げたかどうかは、警察サイドの問題であり、店主には無関係である。その後閉店して議論を呼んだが、道理からいうと責任がない店が閉店するというのはおかしい。そもそも防犯は店の義務でもある。その点は、川崎の店主は何の落ち度もなく、当然の対応をしたに過ぎない。他人から非難される理由も全くない。 ただし、事件の影響で売り上げが大きく落ち込み、営業にならないというのなら話は別で、 風評被害で閉店に追い込まれた可能性はあったかもしれない。

ここで問題にしたいことは、気分的なこと。つまり、店主が仕事に嫌気がさして営業を続ける気がなくなってしまっただろうことだ。こういう場合、よほど強気の人でない限りイヤな思いを引きずりながら続けていくことは出来ないだろう。私だったら、やはりきれいさっぱりと辞める決断をするところだ。

❺仕事がイヤになったら、転職すべし!
事故というのは,、落ち度がなくとも起こるものだ。 どんなに気を付けていても、起きてしまうこともあるというのが事故というもの。要するにツキがなかったのである。それでも人間だから気になるのはしかたがない。 気が進まないのなら、サッパリとやめたほうがいい。

本来、仕事というのはイヤイヤするものではない。仮に無理してやっても、楽しくないしうまくいくことはない。
(※人生では一時的にイヤな仕事でも頑張らなければならないときもあるが、それはまた別の話)
だから 気分を変える意味で、まずは転職することをおすすめしたい。そして傷んだ心のキズをゆっくりと癒していけばいいのである。そしていつかまた、どうしてもやりたくなれば、また再出発を考えてもいいかもしれない。もちろん、どこか遠く離れた場所で。店名も変えてだが。

ただし、 転職するにしても、その前に事件のケジメはしっかりつけておく必要がある。どうケジメをつけるのか。これは、店を継続するか否かよりもはるかに大事なことである。

❻相手のご遺族には、どう対応すべきか?
この場合、店主が相手のご遺族の方と対面し事件についてきちんと説明していくことがどうしても必要だ。(※川崎の店主が実際どうされたかは不明) ご遺族にとっては、なぜ事故が起きたのかが一番知りたいこと。事故死に対する店の責任はなくても、関係者として自分の口からきちんと説明する責任はあろう。間違っても、警察に丸投げするようではいけない。

負担が大きく大変だが、逃げることなくしっかりとやる。(※残念ながら実際には逃げる人も多い)ただし、 お悔みを言い事故に至る詳細な説明はするが、謝罪をするのではない。店側に非がないのは自明なのだから、うその謝罪を言ってもしょうがない。安易な謝罪ほど空々しいものはない。

ではどうするか。 ここは「この度は、大変残念なことになりました」という弔意を誠心誠意、伝えていくことが適切なのではないだろうか。 (謝罪ではないから、お金についても香典を多めに渡すぐらいで、賠償金などは不要である)割り切れない思いのご遺族も、少しは納得し癒されるだろうし、店主も心の負担が軽くなるにちがいない。このような事故後のきちんとしたケジメ、区切りをつけることが、今後の人生のことを考えていくうえでも大切だ。

❼精神的ショックをのりきる!と引きこもりを防ぐには?
ところで、若い人などで学校や職場などで困難な状況になったとき、引きこもってしまうことがある。休養する意味でよさそうにも思えるが、むしろ逆で、大抵は時計の針が止まったように暗い気持ちから解放されることはない。 さらに、引きこもっているという後ろめたさが追い打ちをかけるから、一層暗くなり抜けられなくなる。 心の地獄状態とも言える引きこもりは、心の不幸を固定化してしまうのである。

では、どうすればいいかというと、 専門学校に行って勉強するとか、新たな仕事をするとか、旅行に行くとか、友達に会いに行くとか、公園を散歩するとか、海を見に行くとか、気軽な気持ちで積極的に行動していくのがよい。引きこもりの逆で、むしろ外に向かってどんどん出ていくことが不幸に陥らないコツである。 ちょうど録音や録画と同じように、こうすることで新たな記憶が次々と上書きされ、過去のイヤな記憶がいつのまにか薄らいでいく効果がある。

長い人生には、いろいろショックなことも当然ながらある。そんなときでも耐えられるよう、日頃の心構えはしっかりつくっておくべきだろう。何かあるたびにいちいち引きこもっていては生きてはいけない。図太く生きていける心構えの作り方については、またの機会にやりたい。(了)

■次回以降の掲載予定!

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