中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。
万引き犯罪はこうして防ぐ!店主は万引き犯罪と、どう戦うべきか。
更 新:2022-03-04
テーマ:中古レコード店の経営
防犯カメラにたよらない、万引き窃盗犯罪の基本対策とは何か。
■犯人を捕まえるのは大変。万引きは防止が全てだ!
防犯カメラがこれだけ普及しても、万引き窃盗犯罪はなくならない。確かに抑止効果はあるだろうが、
カメラがあっても、やる人はやる。顔がちょっとでも映ってれば、警察が捕まえてくれるだろうと、高を括っている店主がいるかもしれないが、事はそう単純ではない。
まず店主自身が、万引きされたことに気づかなければ、いくら高価な防犯カメラがあっても、知らないまま終わってしまうから、意味がない。カメラのレコーダーをチェックしてみて、犯行場面が映っていたとする。しかし、相手の顔がはっきり分からなければ、警察に言ってもダメだろう。
※1,※2
(※1、正面の顔が鮮明に映っていなければ、中途半端な捜査しかしてくれないだろう、と前回ブログに書いた。警察も暇ではないのだ。)
(※2、最初の1~2件は万引きに成功しても、3件目で捕まる、ことはよくあること。 万引きではないが、以前、当店にも泥棒が入ったことがある。そのときは捕まえられなかったものの、その後、犯人は他店でも泥棒を働き、そこで捕まった。世の中そんなものである。)
カメラにはっきりと顔が映っている場合を除き、万引きは現行犯逮捕しかない。
これも前回のブログ、(まんだらけの~ 2022/2/18) で述べたように、
店の人が何人かいればいいが、店主一人で取り押さえるのは、かなり大変だし、危険だ。
(他のお客さんがいれば、協力して取り押さえることはできる。)
口頭で注意しただけで、おとなしく謝罪してくれるのなら、それにこしたことはない。盗んだものを返品するか、代金を支払うというのなら、警察沙汰にしなくてもすみ、一件落着だ。(ただし未成年者の場合は、学校や家庭には連絡すべき、と思うが。)
ただし問題は、相手が暴れて反撃してくる場合もあり、気を付けないと本当にヤバイことになる、ということだ。
実際、私の仲間で、ケリを入れられ、腕にけがをした店主もいるぐらいだ。
店主も棒などの武器を持ち、何とかして110番通報しなければいけないということか。私も格闘技の心得はあるものの、考えただけで気が滅入る。
身の危険を感じたときは、無理に捕まえようとしないほうがいい。結果、逃げられてしまうのはしかたがないが、犯人に対し、万引き窃盗は絶対に許さないぞ!という店主の強い意思を、しっかり示していくべきだろう。たとえ逃げられても、追いかけながら、ドロボー!、ドロボー!、と大声で叫ぶだけでもかまわない。
(私も経験した)抑止効果は抜群で、もう二度と店には来ないはずだ。
ただ、残念ながら、
万引きを見て見ぬふりをする、気の弱いダメ店主というのもいるが、こういうことは、断じてあってはいけないことだ!
万引きに楽々成功した犯人はまたやってくる。
こういうダメな店は、万引き犯にとって天国のようなもの。逆に言うと、悪の温床となる迷惑な店、ということであり、早晩、悪い人達の餌食にされて閉店せざるを得なくなるだろう。こういう店を温存しておくほど、今の世の中、甘くはないのだ。(昔は、ずいぶんあったけどなあ。)
万引き対策とは、いかに防止するか、が全てである。
やられてしまってからどうする、というものではない。
当店は、万引き被害は少ないほうだと思う。それは開業前の、店舗設計の計画段階からしっかりと考えて、防犯体制を作ってきたからである。よく営業の人が回ってきて、防犯カメラを設置したほうがいいかどうか、という議論がある。
しかし、カメラを設置する前に、まずは基本的な万引き対策をしっかりやることが最も大事なことだ。それができていれば、カメラは必ずしも必要だとは思わない。
では効果抜群の万引き対策をご紹介しよう。
■万引き防止のための決定的対策はこれだ!
❶
一番重要なことは、カウンターの位置である。店が長方形で奥に長ければ、、出入口付近に設置する。正方形なら出入り口の真向かいの、お客さんの顔が見えて挨拶ができる適当な距離に設置する。店主が出入りするお客さん全員と、顔を見て挨拶する、
このことが重要なのである。
こうすることで、悪い人は店に入ってこなくなる。顔を見られたくない彼らは、こういう店を、非常にいやがる。
(※私としてはとしては、お客さんの顔を、間近でジロジロ見るということはしないが、かといって全く知らん顔というのは、まずい。)
❷
棚を低くすると、店内のお客さん全て見渡せるので、万引きされにくい。
中古レコード店の多くは、平台を採用しているから見通しはいい。
しかし、平台だと枚数を数多く置けないという欠点もある。そこで、当店では本棚のような普通の棚を採用している。
この方式だと、死角ができるので万引きリスクは確かにあるものの、
平台に比べ、倍ぐらいの数量は置ける。うまくやれば大幅な売り上げ増も見込めるというわけだ。
平台と本棚を併用している店も多い。
つまり、店は狭くても、天井までびっちりと商品を置く。質より量で勝負するという考え方である。
なお、棚の配置を考えるときは、
客の動線
についても考慮すること。(防犯のため、
一部の通路を袋小路
にしている店があるのを見たことがあるだろうか?)
どちらの方式がいいかは、店にもよるだろう。
オリジナルなどの高額商品がメインの店なら、平台にして見通しをよくしたほうが安心だし、お客さんとのコミュニケーションもはかりやすい。しかし、中位の価格帯~安い均一ものなども数多く置いてるような店の場合は、本棚方式で「数量の多い店作り」をしたほうが売り上げ増のメリットが大きい。
(圧縮陳列という。ドンキホーテが有名)
これは経営を左右する大きなポイント。どちらを採用するにしても、
どういう狙いがあって店づくりをするのか、どちらが自分の店に合っているのか、
について、真剣に考えること。棚は決してファッションではない。
こういう大事なことを、適当にやってしまう人もいるようだが、そんなことではとても長くやっていけない。
❸
高額商品
は店主の目の届くところ、高くて手の届かないところ、または鍵をかけたガラスケースの中などに置く。高額のレコード、CD、DVDなどの、
中身を抜いて保管する。※
(※ただし、このやり方は保管スペースを使うことと、手間もかかるので、当店では採用してない。やるとしても最小限に留めることをおすすめする。)
❹
店内の死角ができる場所
には、万引きされにくい商品、または安い均一コーナーをそこに作るなどして、大きな被害がないように工夫をする。
❺店主がいつも常連客とバカ話を長くやってたり、仕事以外の事にうつつをぬかしていたり(ゲームなど)してると、
店内全体の緊張感がなくなり、犯罪は増える。
これは、防犯対策以前のことだが、こういうことが意外と大きいのだ。
■店舗設計が一番大事!万引き対策を最大限に考慮すること。
❶❷についてはちょっと難しいが、経営を左右するほど重要事項だ。
通常、店舗設計は、店を開業する前の計画段階から、万引き対策を十分考慮しながら構想を練っていく。つまり店舗物件を契約する前の準備期間に(普通は一年位前から徐々に)考えていかなければいけない。
だから物件を契約してからどうするかを考えるというのは、すでに遅いのだ。
(※実際には、計画準備段階で、正方形、長方形、L字型など、いろいろな形や大きさの店舗を予め想定しながら、店舗設計について、いろいろ考えておく。もちろんメイン商品は何で、どこに配置して、ということも当然大事なことだが、同時に防犯対策についても考えていく。)
開業してからでも、
必要ならそのつど設計し直し、改装していくことになる。
当店も過去に2度ほどカウンターの位置を大きく動かしている。カウンターを動かすということは、他の棚もほぼ全部動かさなければならないから、全面改装になる。
かなり大変だが、面倒だからとためらうのは禁物だ。この辺の重要性については、ちょっと説明したぐらいではわからないかもしれない。店を開業して成功したい人は、経営についての基本的な勉強をしっかりとやってほしい。(後述)
■防犯カメラだけにたよるのは危険?
防犯カメラさえ設置すれば大丈夫だろう、という大きな誤解がある。
確かにカメラの抑止効果は大きいと思うが、過信は禁物だ。カメラだけで防犯できるなら、こんな楽なことはないだろう。
万引き防止の基礎はあくまで店舗設計にある。カメラはあくまで、防犯対策の補助、ぐらいに考えたほうがいい。
これを怠ってカメラだけ設置して安心しているのが一番ダメなんだ、ということを強調したい。
■補足。・・これから店をやりたい人は、経営の勉強をしっかりやるべし!
実は、商店経営の基本的な理論というのはすでに確立している。(そういうことを知らない人が多いので本当に困るのだが)
(時代とともに更新もされている)スポーツ、学問、芸術など、どんな分野であっても、まず基本が一番大事であることに、異論のある人はいないであろう。基本を無視しては何事も成功しない。そしてまさに商店経営もそうである。万引き対策などは、商店経営の基本的知識があれば、それほど難しいわけではない。ベテラン店主にとっては常識的なことばかりだ。
これから何某かの商店を立ち上げたい、という若い人に特に言いたいのだが、
確実に成功したければ、しっかりと基本を勉強してほしい。別に専門学校などに通う必要はない。ただ、いろいろな経営の本、ビジネス本を幅広く、そして商店経営の専門的な本も少しは読むことだ。※
それができれば、すでに成功を約束されたも同然と言える。ぜひ頑張ってほしい。
スーパー、コンビニ、デパート関係の本
が狭義の専門書ということになる。私個人としては、少し幅広くはなるが、
セブンイレブンのポスシステム、ドンキホーテの圧縮陳列、トヨタ自動車の看板方式、パナソニック創業者の松下幸之助の経営に対する考え方
は、かなり参考になったし、当店の経営にも何らかの形で、取り入れている。そのものズバリの、『中古レコード店の開業の仕方』などという、お手軽なハウツー本というのは、売っていないし、あってもろくなものではないから、読む必要はない。
大事なことは、商店経営に通底する基本的な考え方を身に着けることであり、これが成功への近道だ! 三年ぐらいは勉強すること。
詳しくは別の機会にゆずる。)
次回以降の掲載予定!
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■自営で成功したい人はこう勉強せよ! どんな人も三年で人生が大きく変わる。
■専門店と大型店の査定はこう違う! アナログ方式か、デジタル方式か。
■相見積もりは、カンベンしてくれ! 傷だらけの、合い見積もり体験記。
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※以上、順不同。月1~2回の更新です。
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