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中古レコード、CDの買取や販売について、また日々の経営について、考えたこと、伝えたいこと、などいろいろ書いていきます。月に1~2回、更新していく予定です。

中古レコードを東京に売るってどうなんだ? そのメリットと落とし穴。

更 新:2022-04-03
テーマ:買取と販売

中古レコードを東京に売ることが、いいのか悪いのか?損か得か?どんな危険があるのか?今後札幌の店はどうなってしまうのか?について徹底的に解説します!



■東京にレコードを売る人が増えることは、地元札幌の店やお客さんにとって、大きな痛手だ!
わざわざ遠方の、東京に中古レコードを売る人がいる。最近こういう人が増えているようである。地元札幌にも、熱心に買取をしている数多くの店があるにもかかわらず、である。

いいレコードは品薄だから、札幌でも買取は大歓迎だ。しかし、東京など本州の店に売る人が増えてしまうと、地元の店や、地元でレコード店まわりをしているお客さんには、大きな痛手になる。このままでは、札幌のレコード文化も、だんだんダメになっていく、ということでもある。

札幌のみならず、地方で頑張ってきた店主達も、これについては大変苦々しく思っているはずだ。今は、インターネットの時代だから、買取相場だって、そう大きく変わらない。

札幌のレコード店について全く知らずに、東京に売ってしまうというのは、まだわかる。しかし、 日頃から中古レコード店回りをしているような人が、付き合いのある店によく相談もせず、短絡的に東京に売ってしまうのは、全く理解に苦しむ。
懇意にしていた店の店主は裏切られた形になり、怒り出しても不思議はない。(実際、かつての古書店では、店主とお客さんがケンカになるということはよくあった。)

■「グーグル広告(旧アドワーズ広告)」が大問題だ!
なぜこうなってしまうのか。

最大の問題は、グーグルで検索すると、東京や大阪、名古屋など、中央の大都市店舗がズラリと数件、検索上位に名前が出てくることが最大の原因だ。
これは、「グーグル広告」という、優先的に検索画面の上位にでてくるシステムの広告である。店の良しあしとは関係なく、グーグルに大金を払えば、このような宣伝広告が可能になるのだ。

(※後述するが、悪徳業者店も混じっているかもしれないので、要注意だ。)

そのためいつも、札幌の店は頭を押さえつけられ、沈没寸前で喘いでいる。いくら探しても、見つからない店もあるぐらいだ。

私は、必ずしも、グーグル広告のすべてが悪いとは思わない。以前は、札幌の店も(当店もだが)けっこう広告を出していて、検索すると、ひととおり地元の買取店舗は探すことができたものだ。

それがここ何年かで、状況が一変。 グーグル検索画面の中は、あっという間に本州勢に席巻されてしまった。やつらが、金にものを言わせての、仁義なき地方制圧に乗り出してきたためだ。地方を潰してでも、独占的にレコードを買い集めようという魂胆だ。 地方など、どうでもいい、眼中にもない、というところか。

冗談ではない!私は怒っている。

このままいけば、札幌はじめ、地方の中古レコード店は、ズタズタになり、軒並み大きなダメージを受けることは必至である!   かつて札幌の古本屋が、ブックオフやゲオなどの出店攻勢により、壊滅的な状態に追い込まれたことを思い出す。やがては、お客さんが中古レコードを地元の店で買えなくなる日もくるにちがいない。 今、レコードブームと言われる中にあって、非常に大きな危機を迎えている、と私は考えている。

(※これは大げさな話ではない。 現在札幌の古書店は、ネット通販店を除き、ほぼ全滅に近い状況だ。そして中古レコード店も古書店の3~5年の後追いで、店舗数が減少してきたという事実がある。 中古レコード店も近い将来、古書店と同じ運命をたどるのかもしれないという危機感は、あって当然だ。)

そもそも、宣伝広告というものは大金を払ったもの勝ちだ、という理屈もあるだろう。 しかし、検索で札幌の店を探すために、わざわざ「札幌」と、キーワードを入れているのに、検索上位にズラリと並ぶのは本州の店ばかり、というのは、絶対におかしいだろう!そして肝腎の札幌の店はなかなか見つからない。 これでは、詐欺と同じこと。 明らかにグーグル検索システムの欠陥であり、すぐにも改善すべきだ!

(※グーグル検索には、地元優先原則もあるようだが、まだまだ配慮が足りてないと言うべきか。)

そして、 本州勢は北海道にまで手を突っ込んで荒しまわるようなことは、今すぐやめるべきだ!

■東京などの本州勢との戦闘状態のなかで、はたして札幌の店は生き残れるのか?
現在は、東京などの本州勢と札幌など地方都市の、潰すか潰されるかの戦闘状態にある、 と私は思っている。分かりやすく言うと、札幌の市場が本州から 空爆 を受けているような状況である。ロシアのウクライナ侵攻や、ペリーの黒船を彷彿させると言っても、決して言い過ぎではない。

もちろん、今までもずっと、買取競争自体は、札幌の中古レコード店同士の中であったわけだ。しかし 同じ地域の店同士の場合は、たとえどこかの店が大量に買取したとしても、それなりに納得感があるものだ。 皆がお互いをわかっているから、より頑張っている店が買取もあり繁盛するというのも、なんとなく了解できる。そういう納得感である。 したがって遠く離れた、海の向こうのよくわからない相手が、挨拶もなしに、いきなり札幌に殴り込みをかけ市場を荒らすような、現在の理不尽な戦闘状態とは、根本的に異なるということを、ぜひおわかり頂きたい。

■地元優先という考え方が、最も望ましい。
恨み節はこのぐらいにして、話をもどそう。 私は、中古レコードを売るのなら、特別な理由がないかぎりは、地元の世話になった店に売るのが本筋だと思っている。

必ずしも高い安いにこだわるのではなく、普段、自分が世話になってる店や、地元で一番そのジャンルに力を入れている店がいいと思う。まずは、そういう店に相談する。もし買えないとか、あまり欲しくないと言われたら、買ってくれそうな他の店を、地元の中で探してみる。

ところで、店としては欲しいと思っていても、あまりにも多過ぎる場合、つい、二の足を踏んでしまう、ということもよくあることだ。 その場合は、2~3軒の店に分割して処分すればいい。 (※一か所でいっぺんに全部売ることに、こだわる人がいて困るのだが、もっと知恵を働かせてほしい。)

大事なことは、地元のものは、地元で回していく、ということである。どうしても地元で買ってくれる店が見つからない場合に限り、初めて東京など中央の店を検討する、ということになる。 (実際には、メジャーなジャンルに関しては、札幌の店で十分、用が足りるはずだ。)

どこに売ろうが、個人の自由だろ!と思う人も当然いるとは思うが、これが道理というものであり、良識というものだ。それでも東京に持っていきたいのなら、好きにすればよい。他人がそれ以上、とやかく言うことでもない。

(※私の経験では、こういう計算高い人というのは、周囲から嫌われている場合が多いような気がする。仕事はできるが、冷たい合理的なタイプである。こういう人の場合、たとえ嫌われれても、自分の考えでやっていきたいという強い信念があるようだから、これはこれで尊重すべきことかもしれない。ただし私個人としては、あまり関わりたいとは思わないが。)

■ネット広告を出ている店の中には、悪徳業者もいると考えるべきだ。
どんな業界であっても、ネット広告というのは怖いものである。磯八百並べても、遠方なら、確かめようがない。悪徳業者が混じっていても全く不思議はない。 派手な宣伝文句につられる被害者も相当数いると思う。(※悪い業者に騙される人というのは、活字に書いてあることを、全部、真に受けてしまう傾向があるようだ。)

地元の店なら、評判を確認することは容易だし、仮にトラブルがあっても、まだ何とかなるかもしれない。しかし、海の向こうの遠方となるとそうもいかない。 ものは送ったが、何の連絡もこない。査定はしてもらったが、なかなか入金されない、などと言った被害にあうことは、ありうること だと考えておかねばならないだろう。

(※昔は、札幌にも、悪い業者はけっこういた。しかし厳しい冬の時代となり、そのほとんどが、淘汰されてしまったといっていい。)

■東京だからと言って、高く売れる保証は、全くない!
ところで、東京では宣伝にあるように、本当に高く買ってくれるのだろうか?人によっては、一円でも高いところを探そうと、血眼になるような人もいる。こういう人達が、東京の店の派手な宣伝文句に飛びつきたくなるのも、わからないではない。

ただ実際に東京の店が高いかどうかは、一概には言えない。高い安いは、レコードの内容と、個々の店との相性が大きいから、査定してみなければ、なんとも言えない。 正確に言えば、札幌の店の方が値を付けているレコードもあれば、東京の店のほうが、高いレコードもある。一件一件、査定は違うから、東京とか札幌とか、地域で一括りにすることはできない。つまり、このレコードは東京のA店は高いが、別のレコードは札幌のB店がいい、ということになる。東京か、札幌か、ではない。

具体例をあげる。クラシックの国内帯付きは、札幌では値をつけてる店は何店かはある。しかし、私が知る限り、東京の広告を出している全ての店では、買取禁止になっている。知らずに東京に送ってしまうと大変だ。間違いを防ぐには、事前に詳細な電話打ち合わせが、必要だ。できることなら、リストをFAXで送ったうえで、電話で打ち合わせしたほうがいいかもしれない。

東京は、全国から、大量のものが集まるところである。はっきり言って並盤には、興味はないのだ。 東京の店といってもいろいろだが、大量の並盤を東京に送っても、査定の結果 はゼロ円でした、ということも十分ありうる、ということもキチンと認識してほしい。

■東京の人気店では、査定に膨大な時間がかかる場合がある。しかも事実上キャンセルはできない!
東京で人気有名店のD店の場合、査定するまでに、1~2か月以上かかるようである。特に春は査定依頼が殺到し、かなり長い順番待ちになることを覚悟しなければいけない。 これでは、急ぐ人はダメだろう。かといって人気が全くない店は、待たせないかもしれないが、査定に信用がないわけだから、札幌のほうがずっといいという理屈になる。

もう一つ大事なことは、 査定金額が不満でも、事実上、キャンセルはなかなかできない、ということだ。不満でも、そのまま売らざるを得ないのが実情である。

なぜなら、キャンセルで返送されるさいの送料は、受取人払いになるからだ。つまり、 こちらから東京などに送るときは、店が送料を全額負担してくれるが、キャンセルで、こちらに返送されてくる場合は、逆にこちらが全額負担しなければいけなくなる。 うっかりしてると、多額の送料を支払わされるハメになるのである。

(※この宅配便での送料ルールは、ほぼ全国共通。札幌の各店でも同様である。)

■東京に売ってしまうと、地元との付き合いがうまくいかなくなる?
先にも述べたが、大量のレコードを売るさい、 付き合いのある店主には、必ず事前に相談することだ。 これが、気遣いというものであり、長く店と付き合うコツである。店とうまくやりたければ、まずは相談。その店が買わないまでも、いい情報を教えてくれるかもしれない。

反対に、勝手に売ってしまうと、ケンカとまでは言わないが、店主はすっかりヘソを曲げ、人間関係を壊してしまう。今までのような付き合いは、できないかもしれない。この業界の店主は豪放に見えても、根は神経質なのだ。

(※ちょっとしたことで 気まずくなり、その店に行けなくなってしまった お客さんを、私はさんざん見てきた。)

また、店主には内緒にしていても、レコード仲間に話したことが、噂として店主の耳に入ることもよくあること。他店に大量に売ったことを、自慢したい気持ちは、よくわかるが、誰にも言わないほうがよい。 他言は無用、と心得るべきだ。

■まとめ 
東京など、本州の店に売ることのメリットと、デメリットをまとめる。

【メリット】
❶もしかしたら、高く売れるのではないか、という期待感がある。
❷思ったより、スムーズに送ることができそうだ。
❸レコード仲間への、いい話のネタになる。

【デメリット】
❶札幌よりも安く、全くの期待外れに終わるかもしれない。(良いものがないと、実際そうなる。)
❷人気店だと、相当、待たされる。(季節によるが、1~2か月は覚悟すること)
❸キャンセルすると、多額の送料をこちらが負担しなければいけない。
❹悪徳業者はいるものだと考えるべき。よく知らない店はやめておく。広告の宣伝文句は、真に受けないこと。トラブル対処の基本について勉強しておくべき。
❺世話になっていた地元店との付き合いが、今までのようにいかなくなるかも。店主も人間であり、また、気難しい人が多い。売ったことは、誰にも言わないほうがいい。


どこに売ろうが個人の自由だし、結局どうなっても、それも 自己責任 だと思えばよい。当たるも八卦、全くはずれても八卦だ、ぐらいに考えておくべきだろう。


■次回以降の掲載予定!


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※以上、順不同。月1~2回の更新予定です。

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